川道美枝子

川道美枝子の足跡

川道美枝子氏は、1947年に北海道函館市で生まれました。幼少期から自然に親しみ、北海道大学理学部生物学科に進学。大学院では、野生動物の研究に没頭し、特にエゾシマリスの生態に興味を持ちました。

大学院修了後も研究を続け、1994年には「エゾシマリスにおける冬眠の生態」の研究で京都大学から博士号を授与されました。この研究は、彼女の動物学者としての基盤を築いただけでなく、その後の研究活動にも大きな影響を与えました。

2002年には、長年の夢であった関西野生生物研究所を設立し、共同代表に就任。研究所では、野生生物の調査研究を幅広く行い、特に在来種と外来種の関係に着目した研究を行っています。彼女の研究は、自然保護や生物多様性の維持に貢献しています。

特定外来生物アライグマとの闘い

川道氏は、2005年から特定外来生物であるアライグマの対策に力を入れてきました。アライグマは、日本各地で農作物への被害や生態系への影響が問題となっており、その対策は急務とされていました。

彼女は、京都府舞鶴市や亀岡市など、複数の地方自治体と協力し、アライグマの個体数削減に成功しました。特に、社寺に残されたアライグマの爪痕から、地域への侵入状況を把握する手法は画期的であり、文化財を外来生物から守る活動にも繋がっています。

川道氏の地道な調査と粘り強い活動は、アライグマ問題解決のモデルケースとして、他の地域でも参考にされています。

著作活動

川道氏は、研究活動の傍ら、多くの著作を執筆しています。その著作は、専門家だけでなく、一般の人々にも自然や動物の面白さを伝えています。

初期の著作には、1987年に出版された『シマリスの冬ごし作戦 北国の森に生きる』や、2003年の『きたのもりのシマリスくん』などがあります。これらの書籍は、子供たちに自然への関心を抱かせるきっかけとなりました。

また、共著として『森のシマリス』(1983年)、『けものウォッチング』(1991年)などがあり、専門的な知見をわかりやすく解説しています。2001年には『移入・外来・侵入種 生物多様性を脅かすもの』を共編著として出版し、外来種問題への警鐘を鳴らしました。

その他、学術論文も多数発表しており、研究者としての実績も高く評価されています。

社会への貢献

川道美枝子氏は、その研究活動を通して、野生動物の保護、外来生物対策、環境問題など、多岐にわたる社会問題の解決に貢献しています。また、教育活動にも熱心で、講演会やワークショップを通じて、次世代の人材育成にも力を注いでいます。

彼女の活動は、科学的知見に基づいた、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となっています。

主な参考文献

『現代日本人名録』2002年
川道美枝子「移入植物種の問題点 (特集 日本列島に侵入した生きものたち)」『プランタ』第83号、研成社、2002年9月
川道美枝子「書評 日本生態学会編、村上興正・鷲谷いづみ監修『外来種ハンドブック』」『学鐙』第100巻第2号、丸善、2003年2月
川道美枝子、川道武男、金田 正人「文化財等の木造建造物へのアライグマ侵入実態」『京都歴史災害研究』第11号、立命館大学歴史都市防災研究センター京都歴史災害研究会、2010年3月
川道美枝子、川道武男、山本憲一、八尋由佳、間恭子、金田正人、加藤卓也「アライグマ侵入実態とその対策」『畜産の研究』第67巻第6号、養賢堂、2013年6月
川道美枝子、三宅慶一、加藤卓也、山本憲一、八尋由佳、川道武男「京都市内でのハクビシン(Paguma larvata)の社寺等への出没動向」『京都歴史災害研究』第16号、立命館大学歴史都市防災研究所 京都歴史災害研究会、2015年3月
* 川道美枝子、八尋由佳、川道武男「京都市内での[アライグマ]の出没動向 : 2005年から2015年までの捕獲数の推移」『京都歴史災害研究 = Historical disaster studies in Kyoto』第17号、立命館大学歴史都市防災研究所 京都歴史災害研究会、2016年3月

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