工芸指導所

工芸指導所の概要

工芸指導所（こうげいしどうしょ）は、日本における金工、木工、漆工などの工芸産業の改善と発展を目的に1928年に設立された国立の研究機関です。この機関は、伝統技術の継承と新しい工芸技術の開発を促進することを目的に活動してきました。1952年にはその名称が通商産業省工業技術院産業工芸試験所に変更され、さらに技術研究や試験業務に注力しました。

沿革の詳細

工芸指導所の設立は1927年の予算計上から始まりました。商工省が「美術工芸」を取り扱うことに異論があった中、東北の工芸産業振興を目指す案が認められ、設立が決定されました。当初、宮城県出身の藤沢幾之輔が商工大臣を務めており、彼の推進により仙台に設立されることが決定しました。1928年3月31日には官制が公布され、初代所長に国井喜太郎が任命されました。次に、仙台市に庁舎と工場を建設し、移転を行いました。

工芸指導所の設立当初の予算は約70,000円と、国立機関としては非常に小規模でしたが、初期から工芸の多様な分野にわたる研究が進められました。初代の組織は、木工、塗工、玩具などを対象とした第一部、鋳造や鈑金を扱う第二部、図案設計や印刷に関する第三部から成り立っていました。また、伝習生事業や機関誌の発行などを通じて、工芸技術の普及を図る活動が行われました。

1929年には伝習生制度が始まり、工芸技術を学ぶ学生が養成されました。これによって多くの職人が育成され、各地域の工芸が活性化しました。さらに1932年に月刊機関誌「工芸ニュース」を創刊し、工芸に関する最新の情報を提供する仕組みも整えました。

1937年には事業対象が拡大し、木工品や金属工芸品を含む幅広い工芸品の研究が進められましたが、第二次世界大戦の影響も受け、1945年には空襲によって本所が全焼する事態に直面しました。その後も、仮事務所を設置するなどして事業を継続し、1946年には連合軍の家族住宅用の家具設計にも関与しました。

1951年には工芸意匠や包装に関する業務を開始し、その後1963年には日本工芸会との提携により、工芸の国際的な発展も促進されるようになりました。翌年には工業技術庁の外局として再編成され、工芸分野への支援が一層強化されました。

工芸指導所の活動は日本の工芸の発展に大きく寄与しており、その成果は日本各地の工芸品に見ることができます。現代においても、この機関は伝統技術の保存と革新を目指し、引き続き重要な役割を果たしています。

もう一度検索