巴金

巴金（はきん） - 中国文学の巨匠

巴金（バ・ジン）は、1904年に四川省成都市に生まれた中国の小説家、翻訳家、エッセイストです。彼の本名は李尭棠（り ようどう）であり、重要な作品を多数執筆しています。彼のペンネーム、巴金は、自殺した友人の巴恩波と、ロシアの思想家クロポトキンに由来しています。

初期の人生と教育

巴金は中流家庭に育ち、代々官吏をつとめる名家の三男としてこの世に生を受けました。彼の教育は、1919年の五・四運動に影響を受けました。この運動は、彼のアナーキズムに対する興味を刺激し、特にパクーニンやクロポトキンの思想が彼の心に響きました。1923年に中学へ進学し、その後南京の学校に転校しますが、後の北京大学への進学は健康上の理由により叶いませんでした。

1927年、巴金はフランスに留学し、1929年には帰国して作家活動を始めました。彼は日本を訪れ、横浜に滞在した経験を基にした小説やエッセイも数々残しています。

文学活動と代表作

彼の代表作には、長編小説『寒い夜』『火』などがあります。特に『激流三部曲』である『家』『春』『秋』や、愛情のテーマに焦点を当てた『愛情三部曲』である『霧』『雨』『電』は、文学界で高い評価を得ており、巴金の地位を確立しました。

文化大革命の影響を受けた巴金は、一時文壇から姿を消しましたが、1978年から1986年にかけて「随想録」を執筆し、当時の社会や自身の思想的な反省を深く掘り下げました。この随想録は彼の「遺言」とも言われています。

1981年、巴金は「現代文学館」の設立を提唱し、1985年には北京で正式に設立されました。また、1986年には「文革博物館」の建設計画を提言し、文化的な記憶を保存する重要性を訴えました。

略年譜と受賞歴

巴金の略年譜は以下の通りです。

• - 1927年: フランス留学開始。
• - 1929年: 帰国。
• - 1931年: 小説『家』を発表。
• - 1957年: 文学誌『収穫』を創刊。
• - 1977年: 中国作家協会主席就任。
• - 1990年: 福岡アジア文化賞特別賞受賞。
• - 2003年: 中国国務院より『人民作家』の称号を授与。

代表的な著書

彼の著書は多岐にわたります。例えば、『新生』や『滅亡』、長編小説『家』などは日本語に翻訳されており、いずれも彼の文学の深淵を伝えています。また、エッセイ集『随想録』や『探索集』などもあり、彼の思想や生活が色濃く反映されています。

巴金は2005年に生涯を閉じましたが、彼の文学は今なお多くの人々に影響を与え続けています。彼の作品や思想は、21世紀の中国文学を理解する上で重要な資産です。

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