巻貝

巻貝の概要

巻貝（まきがい、英：conch）は、軟体動物門腹足綱に属する動物群の一つで、特にその特有の螺旋状の貝殻で知られています。一般に、腹足綱の多くの種は螺旋状の殻を持つものの、カサガイのように異なる形状のものや、アメフラシ、ウミウシ、ナメクジなど殻が退化した軟体動物も存在します。さらに、頭足類に属するオウムガイやアンモナイトなども螺旋状の殻を持っていますが、厳密には巻貝とは分類されません。

巻きの方向

巻貝は形状が螺旋状であり、左右対称ではなく、多くの種が右巻きか左巻きといった明確な巻きの方向を持っています。一般的に、時計回りは右巻き、反時計回りは左巻きとされます。右巻きと左巻きを見分けるには、巻貝のとがった部分を上に向け、殻の口がどちらに向いているかを確認します。通常、殻の口が右側に位置すれば右巻き、左側に位置すれば左巻きです。

巻きの方向は通常種によって決まるもので、全体の約90%が右巻きとされているものの、その理由ははっきりしていません。特に左巻きの種は陸生や淡水に多く見られ、カタツムリでは主に右巻きが多いですが、一部には左巻きのものも存在します。また、遺伝子によって巻きの方向が決まっているとされ、左右両巻の種では内臓の配置も左右逆になっています。これらの発生段階における左右逆という説には異論がもたれているのも興味深い点です。2019年には日本の中部大学がヨーロッパモノアライガイの巻きの方向を決定する遺伝子を特定し、ゲノム編集によって巻きの方向を変更できることを示しました。

巻貝の構造

巻貝の構造は複雑で、主に以下のような部分があります。

• - 貝蓋: 巻貝の口を覆う殻
• - 歯舌: 食物を削るための器官
• - Apex: 殻の最上部
• - Spire: 貝殻の伸びた部分
• - Columella: X線で観察できる中心部の構造

この他にも、巻貝に似た構造を持つ生物には、有孔虫の殻やヤドカリの背中に形成される構造などがあります。また、昆虫の一種であるカタツムリトビケラなども巻貝に似た形をしています。

巻貝の用途

巻貝は食用として広く利用されています。特に日本やイタリア、西インド諸島などで親しまれており、イタリアではクリスマスに供される魚介料理の一部として巻貝が用いられます。西インド諸島ではクイーンコンクがサラダやフリッターとして賞味されることが多く、これらの地域では巻貝を使った祭りや競技も行われています。ただ一方で、特定の種が絶滅危惧種に指定され、それに応じた漁獲制限や輸出規制が設けられていることも懸念されています。

また、巻貝は楽器としての利用や、宝飾品としての需要もあります。たとえば、法螺貝は楽器として用いられ、インドではサンゴや巻貝から作られる腕輪（shakha paula）を花嫁が身に着ける文化もあります。ハワイでは小粒の巻貝を使用したネックレス、シェル レイが人気を博しています。

以上のように、巻貝はその美しい外観と多様な用途から、文化的にも生態学的にも重要な存在であると言えるでしょう。

もう一度検索