巽和行

巽 和行（たつみ かずゆき）に関する概要

巽和行は1949年1月26日に生まれた日本の無機化学者であり、化学工学を専門とし、多くの研究成果を挙げています。彼は、大阪大学で工学士の学位を取得後、大学院に進学し、1976年に工学博士の学位を得ました。巽氏は名古屋大学の名誉教授として知られ、公益社団法人日本化学会の名誉会員でもあります。また、彼は日本学士院の会員としても認められています。

彼の研究業績は、特に遷移金属カルコゲニド錯体化学において際立っています。金属硫黄クラスタの活性中心に関するモデル錯体の合成に成功し、その分野で世界的な先駆者とされています。巽氏のもう一つの重要な業績は、アセチルCoA合成酵素の活性中心モデルであるニッケル二核錯体の合成です。これらの研究は、生化学と無機化学の接点において重要な貢献を果たしました。

研究活動とキャリア

巽和行は、アメリカにおいてテキサスA&M大学とコーネル大学で博士研究員としての経験を積みました。彼の母校、大阪大学に帰国後、1982年から理学部の助手として教鞭を執り、以降は助教授、教授へと昇進しました。1994年には名古屋大学に移り、理学部教授を務めるようになりました。その後、名古屋大学の大学院理学研究科教授、さらには物質科学国際研究センターの教授としても活動し続けました。

名古屋大学では、多数の要職を歴任し、特に2003年から2013年にかけては物質科学国際研究センターのセンター長として、研究や教育環境の向上に尽力しました。彼は2013年に名古屋大学を定年退職し、その後も名誉教授として再雇用され、同センターで特任教授として活動を続けています。

受賞歴

巽氏は、彼の研究の成果に対して多くの賞を受賞しています。1998年には井上学術賞、2006年には日本化学会賞、2013年には文部科学大臣表彰を受賞し、同年には日本学士院賞も受賞しました。これらの受賞は、彼の優れた研究成果を賞賛するものであり、彼が学術界に多大な貢献を果たしていることを示しています。また、フンボルト賞やオイゲン・ウント・イルゼ・ザイボルト賞など、国際的な評価も受けています。

影響と貢献

彼の研究は、無機化学の新しい地平を切り開き、生物無機化学や触媒科学への理解を深める上で重要な役割を果たしました。特に、遷移金属カルコゲニド錯体の研究は高く評価されており、これによりより効率的な触媒の設計が可能になりました。巽氏の取り組みは、科学界において多くの若手研究者に影響を与え、後進の育成にも力を注いできました。その制度化された教育方法は、科学教育の質を高めることに寄与しています。

著作

数多くの著作も残しており、共著や編纂した文献は、化学の分野における重要なリソースとなっています。特に、分子軌道法に基づく錯体の立体化学に関する著作は、多くの学生や研究者にとって貴重な教材となっています。

巽和行は、化学の研究と教育の両面で顕著な業績を挙げており、その存在は今後も重要な意味を持ち続けるでしょう。

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