市原えつこ

市原えつこ（いちはら えつこ）

1988年に愛知県春日井市に生まれた市原えつこは、日本のメディアアーティストであり、独自の妄想インベンターでもあります。彼女の作品は、日本の文化や習慣、信仰を独特の観点で探求し、テクノロジーを組み合わせて新しい視点を提示している点が特徴です。早稲田大学文化構想学部を卒業後、彼女はYahoo! JAPANでUI/UXデザイナーとして働きながら、独自のアート活動を展開しました。

卒業作品の「セクハラ・インターフェース」がきっかけとなり、個人からの依頼が舞い込むようになりました。2015年、祖母の死を契機に制作した「デジタルシャーマン・プロジェクト」は、第20回文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞し、彼女の名を一気に広めました。このプロジェクトでは、人型ロボットのPepperを用いて新たな弔いの形を提案し、その過程で得た経験が彼女の作品制作に影響を与えていると言います。

2018年には、アルスエレクトロニカのInteractive Art＋部門で栄誉賞を受賞したほか、2025年の大阪・関西万博日本館の基本構想策定にも関与しています。作品には、デバイスを駆使して人間の感覚を刺激する「セクハラ・インターフェース」や、幻想的な美女と触れ合えるシステム「妄想と現実を代替するシステムSR×SI」、家庭用ロボットに故人の痕跡を宿らせるプロジェクトなど、幅広いテーマが扱われています。

市原のアート作品は、視覚的な面白さだけでなく、技術的な側面や社会的なテーマも含み、多くのメディアでフィーチャーされています。「NHK WORLD」や「月曜から夜ふかし」など、国内外のさまざまなメディアで取り上げられています。

人物背景

市原えつこの特徴的なスタイルやアプローチは、彼女自身の過去に由来しています。高校生の頃に「アートでは食べていけない」と思い、一般大学への進学を選択。大学では人とのコミュニケーションスキルを身に付け、IT企業で働きながらクリエイターとして成長しました。しかし、会社の束縛から解放されたいため、偶然のきっかけで独立を決意します。彼女は、早稲田大学文化構想学部の第一期生として、様々な背景を持ちながらアートの実践に挑んでいます。

作品製作では、企画やディレクション、UX設計を主に担当し、プログラミングや実装は他の専門家に依頼しています。独特の巫女装束がトレードマークで、彼女自身のキャラクターをより一層引き立てています。大学院にはこれまで3回受験し、全て合格。しかし、数回の迷いを経て、2023年には東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻に入学し、さらなる学びを追求しています。

主な受賞歴と作品

市原えつこの受賞歴には、アルスエレクトロニカや文化庁メディア芸術祭などの名誉ある賞が含まれています。主な作品には、「セクハラ・インターフェース」「妄想と現実を代替するシステムSR×SI」「デジタルシャーマン・プロジェクト」などがあり、これらは倫理や文化についての深い問いを投げかけるものでもあります。

現在、彼女は日本文化の多様性をテクノロジーと融合させ、新たな視点を提供するアーティストとして、国内外で活動を続けています。アートとテクノロジーの融合による作品は、多くの人々に影響を与え、今後の活躍が期待されます。

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