市堀川

市堀川（いちほりがわ）

市堀川は和歌山県和歌山市を流れる川で、中心部に位置し、和歌山城の外堀を起源としています。この川は、同様に外堀から派生した和歌川、大門川、真田堀川、有本川と共に「内川」と呼ばれています。

名称の由来

市堀川の名称は大正5年（1916年）に県の正式な告示によって「和歌山市堀川」と定められ、これは和歌山市の堀川を指すものでした。その後、昭和4年（1926年）に発行された「和歌山市統計書」に「市堀川」と記載され、これが公式な名称として定着しました。元々の読み方は「しほりがわ」が公式とされていましたが、地元住民は市場が存在したことから「いちほりがわ」と親しんでいます。2023年には和歌山県が「市堀川の呼称変更について」の通知を出し、「いちほりがわ」に呼称を統一することを決定しました。

地理と流れ

市堀川は和歌川との合流地点から始まり、西へ流れ、複数の橋（堀詰橋、住吉橋、京橋、中橋）を経て北上します。その後、和歌山市駅近くで再度西へ曲がり、伝法橋、雄橋（おのはし）、材木橋を通過して紀の川に並行して流れます。最終的には築地川と合流します。この流れは地域の交通や経済に重要な役割を果たしてきました。

歴史的背景

市堀川は天正14年（1586年）に浅野幸長によって築城された和歌山城の外堀のひとつとして造られました。この時の堀川が後に「市堀川」となり、江戸時代には武家屋敷と町人町を分ける重要な境界線として機能しました。市堀川は舟運による物資輸送の基盤であり、沿岸には商業地区が形成され、城下町の発展に寄与しました。特に市堀川の本町1丁目から寄合橋間には、和歌山城下を代表する通りがあり、賑わいを見せていました。

最初は延長1.6km、幅24～26mの運河として設計されていましたが、後に真田堀川や新堀川も整備され、外濠としての役割を持ちながらも、平時には舟運を重視した設計が施されました。しかし、明治維新以降には西の丸川、屋形川、新堀川が埋め立てられ、都市化が進む中で市堀川も汚染の影響を受けました。

現代の整備と活動

1992年から和歌山県と和歌山市が共同で行った整備プロジェクトにより、市堀川沿いの環境が改善され、1998年には遊歩道が完成しました。北岸と南岸にそれぞれ遊歩道が設けられ、散策を楽しむことができるようになりました。この川沿いの遊歩道はプライバシーや防犯を考慮して開放時間が設定されています。さらに、2015年には「市駅“グリーングリーン”プロジェクト」の一環で、プラグインハイブリッド船による遊覧運航も試験的に行われました。

市堀川は、その歴史的意義と共に、現在でも地域のシンボルとして人々に親しまれています。

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