市大樹

市大樹

市大樹（いち ひろき、1971年 - ）は、日本の歴史学者であり、大阪大学栄誉教授を務める。愛知県出身で、日本古代史を専門とし、特に律令国家における交通制度や木簡の研究で知られている。

経歴

市大樹は、1995年3月に大阪大学文学部史学科を卒業後、2000年3月に大阪大学大学院文学研究科博士後期課程を単位取得退学した。その後、研究者としてのキャリアをスタートさせ、2001年1月に奈良文化財研究所研究員に就任。

同年3月には、「律令国家都鄙間交通の研究」で博士（文学）の学位を取得。この研究は、古代日本の交通制度が国家統治にどのように関わっていたのかを明らかにするもので、彼の研究の重要な出発点となった。

2011年4月には、大阪大学文学研究科准教授に就任し、教育・研究活動に携わる。彼の指導を受けた学生の中には、現在、第一線で活躍する研究者も多い。

市大樹の研究業績は高く評価されており、2012年には日本学術振興会賞と日本学士院学術奨励賞を受賞。2013年には濱田青陵賞、2014年には古代歴史文化賞大賞を受賞している。

2020年4月には大阪大学教授に就任。同年12月には、長年の功績が認められ、大阪大学栄誉教授の称号を授与された。

研究内容

市大樹の研究は、古代日本の社会構造や政治体制の解明に大きく貢献している。特に、律令国家における交通制度や木簡の研究は、当時の社会の実態を知る上で重要な手がかりとなっている。

著書である『飛鳥藤原木簡の研究』（塙書房、2010年）では、飛鳥・藤原京で見つかった木簡を詳細に分析し、当時の人々の生活や政治状況を明らかにしている。

また、『すべての道は平城京へ　古代国家の〈支配の道〉』（吉川弘文館、2011年）では、古代国家がどのようにして全国を支配していたのかを交通制度の側面から解き明かしている。

『飛鳥の木簡 ―古代史の新たな解明』（中公新書2168、中央公論新社、2012年）は、木簡研究の入門書として、一般読者にも古代史の面白さを伝えるものとなっている。

『日本古代都鄙間交通の研究』（塙書房、2017年）は、博士論文を大幅に加筆・修正したもので、彼の長年の研究の集大成と言える。

著書

『飛鳥藤原木簡の研究』（塙書房、2010年）
『すべての道は平城京へ　古代国家の〈支配の道〉』（吉川弘文館、2011年）
『飛鳥の木簡 ―古代史の新たな解明』（中公新書2168、中央公論新社、2012年）
『日本古代都鄙間交通の研究』（塙書房、2017年）

市大樹の研究は、専門家だけでなく、一般の歴史愛好家にとっても興味深いものであり、古代日本の理解を深める上で貴重な貢献をしている。

もう一度検索