市岡ショーン

市岡ショーン：二つの祖国を背負うバスケットボールプレイヤー

市岡ショーン（本名：ショーン・ヒロシ・ヒンクリー）は、1991年4月3日、アメリカ・ロサンゼルスに生まれました。彼のキャリアは、国境を越え、多様な文化と才能が融合した、まさにグローバルなアスリートの姿を体現しています。

プロキャリアの幕開け

父の影響で5歳からバスケットボールを始めた市岡は、ウエストトランス高校でその才能を開花させ、地域の優秀選手に選ばれるまでになりました。2010年、高校卒業と同時にリンク栃木ブレックス（現：宇都宮ブレックス）と契約。「ショーン・ヒンクリー」として、Bリーグでのキャリアをスタートさせました。下部組織であるTGI D-RISEでのプレーも経験し、着実に実力を磨きました。

2012-13シーズンにはトヨタ自動車アルバルク（現：アルバルク東京）へ移籍。そして、リーグがNBLに改編された2013-14シーズン、アイシンシーホース三河（現：シーホース三河）への移籍を機に、「市岡ショーン」として登録名を変更。以降、この名でプレーを続けています。一時、学業に専念するためにチームを離れましたが、サンディエゴコミュニティカレッジでの学びを経て、2015-16シーズン終盤にアイシン三河へ復帰しました。

B.LEAGUEが開幕した2016-17シーズンも三河でプレーしましたが、シーズン終了後に退団。2017-18シーズンは無所属となり、アメリカの大学で経理を学びながら、両膝のケアに努めました。その後、レバンガ北海道、福島ファイヤーボンズ、越谷アルファーズを経て、2023-24シーズンには熊本ヴォルターズに加入。全試合に出場し、チームに貢献しました。

2024-25シーズンからは、滋賀レイクスで新たな挑戦をスタートさせています。

プレースタイルと日本代表としての誇り

市岡は、インサイドでの献身的なプレーが光るビッグマンです。外国籍選手とのマッチアップが多く、ファウルが増えがちですが、柔らかいタッチのミドルシュートや、豪快なアリウープなど、日本人離れしたプレーで観客を魅了します。

アメリカと日本の二重国籍を持つ市岡は、トーマス・ウィスマン（当時の日本代表ヘッドコーチ）の誘いを受け、日本国籍を選択。2011年には日本代表候補に選出され、翌2012年にはFIBAアジアカップに出場し、準優勝に大きく貢献しました。日の丸を背負い、コートを駆け抜ける彼の姿は、多くのファンに感動を与えました。

市岡ショーンを形作るルーツ

市岡の曾祖父は、大日本東京野球倶楽部（後の読売ジャイアンツ）の初代総監督であり、日本職業野球連盟の初代理事長、東京巨人軍の初代代表を務めた市岡忠男です。野球界のパイオニアをルーツに持つ彼は、バスケットボール界で新たな歴史を刻んでいます。

アメリカ人の父と日本人の母を持つ市岡は、幼い頃から日本を訪れ、祖父母との交流を深めてきました。「市岡ショーン」という名前は、パスポートにも記載されており、国際大会ではこの名で出場しています。2023-24シーズン終了後にはアメリカへ帰国しましたが、ブースター感謝祭のために再び来日するなど、ファンを大切にする一面も持ち合わせています。

市岡ショーンは、そのルーツ、プレースタイル、そして人間性で、多くの人々を魅了し続けています。彼の今後の活躍から目が離せません。

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