市川信定

市川信定（いちかわ のぶさだ）

概要

市川信定は、生没年不詳の戦国時代から安土桃山時代にかけての武将です。山内一豊の家臣として、その名を歴史に刻んでいます。通称は山城とされ、その武勇は多くの記録に残っています。父は若狭武田氏の家臣である市川定照で、市川氏は若狭国三方郡能登野（現在の福井県三方上中郡若狭町能登野）を拠点とする土豪でした。

山内一豊への仕官と活躍

市川信定は、長浜城主時代の山内一豊に仕えました。彼は特に火矢の扱いに長けており、その卓越した技術は戦場で大いに役立ちました。特に、小田原征伐ではその名が轟き、一豊の軍勢の勝利に大きく貢献したと伝えられています。その功績により、一豊が遠江国掛川城に封じられた際には、千石を領するまでになりました。

関ヶ原の戦い前の活躍

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの直前、山内一豊は徳川家康に従い会津征伐に参加していました。この時、大坂では石田三成が、会津攻めに出陣した大名たちの家族を人質に取ろうとしていました。この危機的な状況の中、一豊の妻である見性院（千代）を救出するため、信定は一豊の使者として大坂へ派遣されました。この任務は非常に危険なものでしたが、信定はこれを成功させ、見性院を無事に救い出すことができました。この功績は、彼の忠誠心と勇気を物語るものとして、後世に語り継がれています。

関連作品

市川信定を題材とした直接的な作品は少ないですが、山内一豊を主人公とした以下の作品で、その姿が描かれています。

映画『山内一豊の妻』（1939年） - 南部彰三が演じた。
テレビドラマ『司馬遼太郎の功名が辻』（1997年、ANB） - 渡辺哲が演じた。
* 大河ドラマ『功名が辻』（2006年、NHK） - 岡田圓が演じた。

これらの作品では、信定は一豊を支える重要な家臣の一人として、物語に深みを与えています。特に『功名が辻』では、彼の忠義心と勇敢さが強調して描かれ、視聴者に強い印象を与えました。

まとめ

市川信定は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将であり、山内一豊の右腕として多くの戦で功績をあげました。火矢の名手としての活躍はもちろんのこと、主君の妻を救出したエピソードは、彼の忠誠心と勇気を象徴する出来事として特筆されます。彼は、歴史に名を残した名将の陰で、その活躍を支えた重要な人物の一人と言えるでしょう。

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