市川團蔵

市川團蔵 - 名跡の歴史

市川團蔵は、歌舞伎界において重要な名跡です。三河屋を屋号とし、定紋は縦長の三升、替紋は結び柏を使用します。六代目以降は、三芳屋という屋号も使用しました。

本稿では、初代から九代目までの市川團蔵を襲名した役者たちの系譜をたどり、その生涯と名跡継承の経緯を詳細に解説します。

各代ごとの系譜と生涯

初代 市川團蔵 (1684-1740)

初代市川團十郎の門下で、歌舞伎役者・松本四郎三郎を父に持ちます。市川段之助、市川團之助を経て初代市川團蔵を襲名しました。

二代目 市川團蔵 (1710-1740 または 1716-1746)

初代市川團蔵の次男、もしくは弟で養子という説があり、市川市三郎から二代目市川團蔵を襲名しました。生年と没年については諸説あります。

三代目 市川團蔵 (1719-1772)

初代市川團蔵の門人で、養子として名跡を継承しました。実父は森田座手代又兵衛で、狂言作者坂東田助、その後坂東又九郎の養子となるなど、複雑な出自を持ちます。坂東次郎三郎、市川次郎三、二代目市川團三郎を経て三代目市川團蔵を襲名しました。

四代目 市川團蔵 (1745-1808)

三代目市川團蔵の門人から、三代目未亡人の養子となり、名跡を継承しました。はじめは初代中村富十郎の門下で、亀谷虎蔵、中村虎蔵、市川友蔵、三代目市川團三郎を経て四代目市川團蔵を襲名しました。

五代目 市川團蔵 (1788-1845)

四代目市川團蔵の養子です。初代市川市蔵の門下で、市川森之助、市川團次郎、四代目市川團三郎、市川市紅を経て五代目市川團蔵を襲名しました。

六代目 市川團蔵 (1800-1871)

七代目市川團十郎の門下で、五代目市川團蔵の未亡人の養子となりました。実父は四代目市川團蔵の門弟である初代市川荒五郎です。市川昭世、市川三蔵、初代市川茂々太郎、初代市川白蔵、二代目市川九蔵を経て六代目市川團蔵を襲名しました。

七代目 市川團蔵 (1836-1911)

六代目市川團蔵の養子で、実父は料理人丸屋伊三郎です。初代市川銀蔵、二代目市川茂々太郎、二代目市川白蔵、三代目市川九蔵を経て七代目市川團蔵を襲名しました。

八代目 市川團蔵 (1882-1966)

七代目市川團蔵の次男です。二代目市川銀蔵、三代目市川茂々太郎、四代目市川九蔵を経て八代目市川團蔵を襲名しました。

九代目 市川團蔵 (1951-2024)

八代目市川團蔵の孫で、舞踊柏木流九代目家元・三世柏木衛門の子です。初代市川銀之助を経て九代目市川團蔵を襲名しました。

まとめ

このように、市川團蔵の名跡は、養子縁組や門弟からの襲名など、複雑な経緯を経て受け継がれてきました。それぞれの代で、異なる出自や経歴を持つ役者たちが、その技と名を繋いできた歴史は、歌舞伎界における名跡の重みと、役者たちの努力と情熱を物語っています。 各代それぞれの活躍についても、今後の研究が待たれます。

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