布板信号

布板信号

布板信号（ふばんしんごう）は、地上部隊から飛行機への通信手段の一つであり、特に大日本帝国軍で使用されていました。これは、白色と赤色の布製信号板を用いて、地上から飛行機へ情報を伝達する方法です。具体的には、通信所の位置、部隊の識別番号、方向を示したり、簡潔な事項を伝えるために用いられました。

大日本帝国軍の布板信号

大日本帝国軍において、布板信号は主に砲兵部隊に用いられ、空中観測を通じて射撃の実施やその他の連絡に利用されました。これには、慣用信号や射撃観測用の信号、軍隊区分、部隊標示信号、任務付与信号、通報事項用信号、予備の不宜信号など、さまざまな種類があり、複雑な情報のやり取りを可能にしていました。特に砲兵用の布板信号には、「数字布板」と「標示布板」があります。

数字布板

数字布板には、「隊号布板」と「指数布板」が含まれており、それぞれが特定の役割を果たしています。

• - 隊号布板は、基板と呼ばれる白い布（表面）と赤い布（裏面）を使用し、部隊号や対空通信所の表示に使われます。基板のサイズは3m × 5mで、矩形布と三角形布もセットになっています。これによって目標の識別が容易になります。

• - 指数布板は、数字を示す役割を果たし、通常は3枚1組で使用されます。例えば、数字の「1」は特定の位置に配置された指数布板によって表示され、視覚的に情報を飛行機に送信します。

数字の標示方法

具体的に数字を示す方法について説明しましょう。まず、敵方向に対して矩形布板を横向きに配置します。その後、基板を2m後方に置き、指数布板をその周囲に配置します。これにより、たとえば数字の「868」を表示する場合、矩形布板と基板を所定の位置に配置し、その周辺に指数布板を適切に配置していきます。この視覚通信は、飛行機から見た際の角度によって解読され、敵に対しても間接的に情報を伝える手段となっています。

標示布板

一方、標示布板は、白色と赤色バージョンがあり、主に聯隊や大隊の指示を示すために使用されています。中隊では、方向の指定や敵襲の警報にも応じた情報が送られます。これにより、地上部隊間の情報伝達が効率的に行われます。

陸上自衛隊の対空布板

陸上自衛隊でも類似の布板が用いられ、視覚信号による通信が実施されています。主に地上整備員が航空機やヘリコプターに指示を出したり、地上部隊がヘリボーン部隊と連絡を取る際に使用されます。布板信号は、軍事的な運用の中でも特に重要な役割を果たしており、複雑な状況下でも情報を的確に伝えるための手段として重視されています。

これらの通信手段によって、地上部隊は迅速に情報を航空機に伝達し、作戦の円滑な実施が可能となったのです。

もう一度検索