希望という名の光

山下達郎「希望という名の光」：詳細解説

2010年4月14日にリリースされた山下達郎45枚目のシングル「希望という名の光」は、映画『てぃだかんかん～海とサンゴと小さな奇跡～』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。カップリング曲の「Happy Gathering Day」は、ケンタッキーフライドチキンの40周年記念テーマソングとして制作されました。両曲はアルバム『Ray Of Hope』に収録されており、「希望という名の光」はオールタイム・ベストアルバム『OPUS～ALL TIME BEST 1975-2012～』にも収録されています。『OPUS』の初回限定盤には、アコースティックバージョンの「希望という名の光」もボーナス・トラックとして収録されています。

楽曲制作秘話：「希望という名の光」

山下達郎自身は、最初に制作した「希望という名の光」は映画のエンドロール映像と相性が悪く、一度はボツにしたと語っています。映画のエンドロールは、海辺のシーンから海中のシーンへと切り替わる構成で、最初のバージョンではその移行に違和感があったためです。そこで、締め切り間近の中、改めて書き直したとのことです。

楽曲のテーマについて、山下は映画が「一途な夫婦愛の物語」である点を強調し、主人公を見つめる奥さんの視線、そして周りの人々の視線、それらすべての視線が主人公への励ましや応援になっていると説明しています。この視点を意識することで、楽曲に普遍性を持たせることができたと語っています。

また、山下達郎はコンサートで、この曲を映画のテーマソングとして制作するきっかけとなった自身の友人、そしてナインティナインの岡村隆史への思いを込めてこの曲を捧げていると紹介しています。さらに、2010年のワーナーミュージック・ジャパン創立40周年イベントでも演奏され、急逝した社長への追悼の意も込められました。

楽曲の社会的な反響

東日本大震災が発生した2011年以降、「希望という名の光」は多くのラジオ番組で頻繁に放送されるようになりました。被災者への慰めや励ましとして、この曲が多くの人の心に響いたのです。2011年4月6日に放送が再開されたNHKの音楽番組『SONGS』でも、被災者へのメッセージと共にミュージックビデオが放送されました。山下達郎自身も『OPUS』のライナーノーツで、この楽曲が聴き手の皆さんによって新たな意味付けを与えられたと記しています。それは、楽曲が制作者のものではなく、聴き手のものにもなったということを意味しています。

楽曲制作秘話：「Happy Gathering Day」

一方、カップリング曲の「Happy Gathering Day」は、ケンタッキーフライドチキンのCM制作における打ち合わせがきっかけで誕生しました。CMのアイディアとして、綾瀬はるかが大きなバスから出てくるシーンが提案され、それを「パーティーの情景」にしたいという話から、「同窓会ソング」として制作することになったのです。山下達郎は、長年親交のある友人たちとの絆をテーマに、この曲を制作しました。

ミュージックビデオ

「希望という名の光」のミュージックビデオには、映画『てぃだかんかん』で主演を務めた岡村隆史が出演しています。これは、山下達郎が岡村隆史が出演するラジオ番組『オールナイトニッポン』に出演したことがきっかけで実現しました。ミュージックビデオでは、白い空間で一人ぼっちのサラリーマンが、絵の具でサンゴの絵を描き始め、子供たちの助けも借りながら美しい海底の世界を作り上げていく様子が描かれています。岡村隆史は、このミュージックビデオの出来栄えに大きな喜びと感謝を述べています。

タイアップ情報

「希望という名の光」は、数多くのタイアップ実績を持ちます。JA共済、日本テレビ系スペシャルドラマ、ゲームソフト『龍が如く6』、大塚製薬カロリーメイトのCMソングなどに起用され、幅広い層に楽曲が届けられました。

まとめ

「希望という名の光」は、映画主題歌という枠を超え、多くの人々に深い感銘を与え続ける名曲です。楽曲に込められたメッセージ、制作秘話、そして社会的な反響まで含め、その魅力は多角的に考察できます。山下達郎の音楽性と、楽曲が持つ普遍的な力を感じさせる、まさに珠玉の一曲と言えるでしょう。

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