帰らんちゃよか

帰らんちゃよか

「帰らんちゃよか」は、関島秀樹が作詞・作曲し、後にばってん荒川と島津亜矢が歌唱した楽曲です。「帰らんちゃよか」とは熊本弁で「帰らなくてもいいよ」という意味であり、関島、荒川、島津の3人とも熊本県出身であることが、この曲に深い繋がりをもたらしています。

制作背景

歌詞は全編熊本弁で綴られ、都会で働く子供を故郷から気遣う親の心情が描かれています。作詞・作曲者の関島秀樹は、若い頃に教職を目指して熊本から上京しましたが、採用試験に落第。叙情フォーク全盛の時代にギターを手にバンド活動に没頭し、京都で長女を授かったことで、親子の愛情と絆の大切さを痛感しました。故郷に残した両親の心情を慮り、1995年に「生きたらよか」というタイトルで本楽曲を作詞・作曲しました。

各バージョン

ばってん荒川版

ばってん荒川は、本楽曲のタイトルを「帰らんちゃよか」と改め、1996年にキングレコードからリリースした自身の40周年記念ベストアルバム『生きたらよか』に収録しました。以降、自身が司会を務める番組のテーマソングになるなど、代表曲として歌い続けました。

島津亜矢版

島津亜矢は、荒川が歌うこの歌に感銘を受け、荒川に直接歌唱を懇願。「お前ならよかたい!大切に歌わなんぞ!」と快諾を得て、2004年5月26日にテイチクレコードからシングルとして発売しました。島津自身も、歌手を志して上京する際、母親から「（自分が選んだ道を進む以上）中途半端は許さない」と厳しく言い渡されており、故郷を遠く離れた子を気遣う親の心情に共鳴する部分がありました。

その後、島津亜矢は数々の歌番組でこの曲を披露し、ばってん荒川とも共演を果たしました。2015年のNHK紅白歌合戦では、この曲で出場。「14歳で上京した時、色んな夢とか希望を胸にして、熊本をあとにした思いをこの場で歌わせていただけるというのは、本当にありがたい」と、曲への想いを語りました。

関島秀樹版

作詞作曲者である関島秀樹自身も、荒川によるカバーから約1年半後の1997年5月26日発売のアルバム『SERENADE（セレナーデ）』に「生きたらよか」を収録しました。荒川への敬意から、荒川の生前中はシングルとしての発売は考えていませんでしたが、2006年に荒川が逝去したことを受け、追悼盤として2007年7月15日に1997年当時の録音でシングルカットされました。

生きとるシリーズ

関島秀樹によると、この楽曲は「生きとる」シリーズの第2弾に位置づけられています。

生きとるけん - 1989年発売『Goodbye Yesterday』収録
生きたらよか（帰らんちゃよか）
生きとるよ - 2006年9月21日発売『拝啓 元気です』収録
生きてきた - 2015年12月25日発売『DOKONI ITEMO（どこにいても）』収録

「帰らんちゃよか」は、故郷を離れて暮らす人々への温かいメッセージが込められた、時代を超えて愛される名曲です。

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