常光寺 (八尾市)

常光寺の概要

常光寺（じょうこうじ）は、大阪府八尾市本町に位置する臨済宗南禅寺派の寺院で、南禅寺の塔頭である金地院に属します。この寺には「初日山」という山号があり、地域では「八尾地蔵尊」としても知られています。本尊は地蔵菩薩で、弘仁年間（810年から824年ごろ）に小野篁が制作したと伝えられています。寺の敷地には、大坂城の残石や「河内最古之音頭発祥地」の碑も立っており、歴史的な背景が色濃く残っています。また、境内には大坂の陣で戦死した藤堂家の墓も存在し、過去の歴史を物語っています。

歴史の歩み

常光寺の創建は奈良時代に遡るとされ、僧行基によって設立されたと言われています。創設当初は「新堂寺」と呼ばれていましたが、南北朝時代の戦乱により、寺院は一度焼き尽くされ、荒廃しました。しかし、至徳2年（1385年）に土豪の藤原盛継の手によって再建され、翌年には地蔵尊や阿弥陀堂が復興されました。

室町時代には、足利義満から自筆の額が寄贈され、「初日山」と「常光寺」という文字が描かれ、寺院の宝物として今に伝えられています。大坂の陣の際、常光寺周辺は激しい戦場となりましたが、江戸幕府の重要な人物であった以心崇伝が住職を務める金地院の抱え寺であったため、開戦前の慶長19年（1614年）10月に徳川方から特別に保護され、戦火を逃れることができました。さらに、徳川方の武将藤堂高虎は、寺の方丈の縁側で敵の首を並べて「首実検」を行ったとされています。この出来事に関連して、縁板は後に方丈の西廊下の天井として使用され、「血天井」と呼ばれるようになりました。そこには多くの血痕が残されており、戦の悲劇を今に伝えています。

年間行事

常光寺では、さまざまな行事が行われています。その中でも特に注目すべきは、大般若会が4月に開催されることです。また、地蔵盆会は8月23日と24日に実施され、地域の人々に親しまれています。さらに、八尾は「河内音頭」の発祥の地とされ、常光寺で伝えられる「流し節正調河内音頭」は、その伝統の原型として広く知られています。この音頭は「日本の音風景100選」にも選出され、地域文化の一部として愛されています。

アクセス

常光寺への訪問は、近鉄大阪線の「八尾駅」から徒歩約10分とアクセスも良好です。歴史的な価値と地域の文化を体感できるこの寺院を、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

もう一度検索