常居所

常居所（じょうきょしょ）に関する概念

常居所は、人が普段住んでいる場所を指します。これは国際私法で特に重要な概念であり、さまざまな法律関係を結びつけるための基準として用いられます。一般的な住所や居所とは異なり、常居所は国際的な法律文脈で特に用いられ、この概念はハーグ国際私法会議で創出されました。

常居所の導入背景

法律上の関係において、人の所在をどのように理解するかは重要な問題です。例えば、属人法に基づく法的関係では、住所地を拠り所とする「住所地法主義」と国籍を拠り所とする「本国法主義」が存在します。

住所地法主義における課題は、地域によって住所の要件が異なるため、同じように条約で住所地を定めた場合でも、法域ごとに家の帰属先が異なる可能性があることです。このため、ハーグ国際私法会議は、この問題を避けるために常居所という概念を導入しました。

常居所の意義

常居所の具体的な定義は、スイス国際私法の第20条やハンガリー国際私法の第12条などに見られますが、ハーグ国際私法会議では明確に定義されているわけではありません。この概念は、継続的に滞在する「意思」が必要ないという特徴がありますが、どの程度の滞在が必要かやその目的については明確でない部分があります。このため、日本においては、戸籍実務における基準が設けられています。

日本の戸籍実務における常居所の取り扱い

日本の国際私法では、常居所は親族法を中心とした多数の法律関係において準拠法を決定する道具となっています。たとえば、異なる国籍の夫婦においては、婚姻の効力に関して夫婦の常居所地法が適用されるとされています（法の適用に関する通則法第25条）。
日本における常居所の定義は法令で明文の規定はなく、主に解釈に依存していますが、戸籍事務においては法務省からの通達が基準となっています。

日本人の場合

日本では、まず住民登録がある場合には、そこが常居所とみなされます。また、出国後1年以内でも日本に常居所があると判断されます。出国後1年から5年の範囲では、一般的には日本に常居所があると見なされますが、重国籍者が他の国に滞在中の場合には、その国に常居所があると認識されます。5年以上外国に滞在している場合は、基本的にその国に常居所があるとされます。

外国人の場合

特定の条件を満たす外国人は、日本に常居所があるとされます。具体的には、日本で生まれ、出国していない者や日本人の子どもとして出生した者、特別永住者の在留資格を持つ者などです。その他の場合は、在留資格に応じて1年または5年以上日本に滞在している必要があります。永住目的の場合、1年の滞在と登録で済むこともあります。

注意点

これらの基準は戸籍事務を担当する地方法務局や市町村長が取り扱うためのものであり、裁判規範ではありません。裁判における常居所の認定は、在留資格の有無にかかわらず、具体的にその場所に人物が居住しているかどうかが重視されることになります。

関連項目

• - 国際結婚
• - 国際養子

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