幕末青春グラフィティ 坂本竜馬

幕末青春グラフィティ 坂本竜馬

『幕末青春グラフィティ 坂本竜馬』は、1982年11月16日に日本テレビで放映されたサントリードラマスペシャルです。この作品は武田鉄矢が主役を務め、同時に自ら脚本を手がけたことでも知られます。特に、従来の時代劇とは異なるアプローチで、若者たちの青春や情熱を中心に描かれたドラマとなっています。

概要

このドラマは、時代背景や歴史的事件の詳細よりも、登場人物の感情や若き日の葛藤に重きを置いています。例えば、間崎哲馬や岡田以蔵の死にまつわる描写は簡略化されていますが、その分、若者たちの熱い思いや交友関係が際立っています。また、当時、あまりテレビに出演しなかったミュージシャンやお笑いタレントも多くキャスティングされ、新しい風を感じさせました。

特に注目すべきは、全編にわたりザ・ビートルズの楽曲がBGMとして使用されている点です。竜馬の暗殺シーンでは、ジョン・レノンの名曲『イマジン』が流れ、ドラマに深みを与えています。これにより、映像作品としてのソフト化が難しい状況にもなっています。

スタッフとキャスト

制作やスタッフの面でも、豪華な顔ぶれが揃いました。企画に携わった梅谷茂や松本幸夫、脚本の片山蒼、音楽にザ・ビートルズを起用したことで、ドラマに高いクオリティが求められました。

キャストには、坂本竜馬を演じる武田鉄矢をはじめ、沢村惣之丞を島田紳助、そして高杉晋作を吉田拓郎といった著名人が名を連ねています。さらには、冬の時代を背景にした薩摩藩や長州藩の士族たちの姿も描かれ、物語の緊張感を増しています。

衍生作品

本作の成功を受けて、続編や関連作品も製作されました。1985年放映の『幕末青春グラフィティ 福沢諭吉』や、1986年の映画『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』などがその例です。特に前者はシリーズの続編として位置づけられており、武田が再び坂本竜馬を演じました。

制作の背景

武田鉄矢は、坂本竜馬を描くにあたって、その人物が当時あまり評価されなかったことに着目しました。彼は、坂本が「便利屋」として軽視されていた側面を強調しつつ、実は深い人間性を持っていたことを示そうとしました。多くのミュージシャンが登場する理由は、彼自身が思い描く坂本竜馬に音楽的な要素を見出したからとも言われています。

また、松本幸夫とのコラボレーションにより、新しい感覚の時代劇が生まれました。特に、作品の中では、俳優たちがその役にどっぷりと浸かる姿や、当時まだ無名だったビートたけしが演じる山内容堂の存在感も印象的でした。

ロケ地

ロケは川崎市のよみうりランド内の江戸店京街オープンセットなどで行われ、当時の空気感を演出しています。スタッフやキャストの間でも、独自の演出方法についての意見が飛び交い、時には制作の難しさが伺えるエピソードもあったようです。

このように、『幕末青春グラフィティ 坂本竜馬』は、当時の日本の映像メディアにおいて、非常に革新的で重要な作品となりました。歴史的要素を取り入れつつ、現代的な感覚で若者たちを描くことで、幅広い視聴者に愛され続けています。

もう一度検索