干し草

干し草：家畜を支える飼料のすべて

干し草は、草を刈り取って乾燥させた家畜用の飼料です。古くから家畜の重要な栄養源として利用され、現代でもその役割は欠かせません。今回は、干し草の生産工程から貯蔵方法、そしてその特徴について詳しく解説します。

干し草の生産工程

干し草生産は、大きく分けて刈り取り、反転・集草、梱包、貯蔵の4つの工程から成り立ちます。

1. 刈り取り

刈り取りは、牧草の生育状況に合わせて行われます。例えば、イネ科牧草では、穂ばらみ期から出穂期が一般的です。搾乳牛には栄養価の高い穂ばらみ期の牧草が、乾乳牛には繊維質の多い出穂期の牧草がそれぞれ適していると言われています。刈り取り作業には、モーアと呼ばれる機械が使用され、効率的な作業を可能にしています。近年では、牧草の茎を押し潰して乾燥を促進するモーアコンデショナも広く利用されています。

2. 反転・集草

刈り取られた牧草は、均一に乾燥させるため、定期的に反転させる必要があります。上層部は太陽光と風で乾燥しますが、下層部は地面からの湿気を帯びやすく、乾燥が遅れるためです。この反転作業にはテッダと呼ばれる機械が用いられます。一方、集草作業は、梱包のための準備段階です。刈り取られた牧草をまとめて集草列（ウィンドロー）を作ることで、効率的な梱包作業を実現します。集草作業にはレーキと呼ばれる機械が用いられ、テッダとレーキの機能を兼ね備えたテッダレーキも存在します。

3. 梱包

乾燥した牧草は、様々な形態で梱包されます。代表的なものとしては、5cm程度の大きさに乾燥圧縮したヘイキューブや、30kgまたは50kg程度の単位で四角形に梱包したコンパクトベールなどがあります。他にも、大型のスクエアベールやロールベールといった梱包方法があり、それぞれ専用の機械（コンパクトベーラ、スクエアベーラ、ロールベーラ）を用いて作業が行われます。

4. 貯蔵

梱包された干し草は、乾草舎などの適切な場所で貯蔵されます。貯蔵時の水分含量が20%を超えると、カビの発生や発酵・発熱のリスクが高まります。高温状態が続くと、最悪の場合、燻炭化や自然発火を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

干し草の特徴：長所と短所

干し草は、家畜飼料として多くの利点と欠点を併せ持っています。

長所

貯蔵・運搬の容易さ: 乾燥させることで、長期保存と効率的な輸送が可能になります。
家畜の嗜好性: 家畜の多くが好んで食べ、栄養源として優れた嗜好性を示します。
取り扱い性: 梱包された干し草は、扱いやすく、広域にわたる流通や販売に適しています。

短所

調製に時間と手間がかかる: 刈り取りから乾燥、梱包まで、多くの工程と時間を要します。
土砂や葉部の損失: 反転・集草作業中に、土砂の混入や葉部の脱落が起こる可能性があります。
貯蔵施設の必要性: 乾燥した干し草を適切に保管するためには、十分な容積を持つ貯蔵施設が必要です。
* 水分管理の重要性: 水分含量を15%以下に維持しないと、発熱やカビによる品質低下が発生します。

まとめ

干し草は、家畜にとって重要な飼料であり、その生産工程には多くの労力と技術が投入されています。適切な管理と技術により、高品質な干し草を生産し、家畜の健康と生産性を維持することが重要です。

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