平井一正 (工学者)

平井 一正（ひらい かずまさ）

平井一正は、日本の著名な工学者であり、また登山家としても知られる人物です。彼は1931年10月31日に生まれ、2021年の2月15日に逝去しました。出身地は岐阜県で、学問の世界では神戸大学の名誉教授として、その名声を確立しました。専門分野はシステム制御工学であり、その卓越した知識と研究成果により工学界で高い評価を受けています。

工学者としての活動

平井は京都大学の工学部を卒業後、大学院で学び、1963年には「非線形要素を持つサーボ機構の振動現象に関する研究」というテーマで工学博士の学位を取得しました。その後、1964年には神戸大学工学部に助教授として赴任し、2年間の留学を経て教授に就任しました。1972年には、システム工学科の設立に寄与し、学科の運営に大きく関わりました。

1992年にはシステム制御情報学会の会長になり、学界での影響力を拡大しました。また、国際交流センター長や工学研究科長などの重要な役職も務め、教育と研究の発展に尽力しました。1995年から2000年には甲南大学で教授として活動し、その間には甲南大学の山岳部の顧問も務めました。2010年、彼は春の叙勲で瑞宝中綬章を受章し、学術界への貢献が正式に認められました。

登山家としての経歴

平井は1950年に京都大学に入学し、同時に山岳部に加入しました。その後、彼はさまざまな登山活動を通じて登山家としても名を馳せていきます。1958年には、京大学士山岳会の隊員として、チョゴリザ北東峰に初登頂しました。1962年にはサルトロカンリの初登頂にも成功し、登山界での地位を固めました。

1976年には神戸大学の第二次カラコルム遠征隊の隊長としてシェルピカンリに初登頂し、無事故での成功を収めました。平井はまた、1986年に日中合同隊としてクーラカンリ主峰の初登頂にも成功しました。彼はその過程で中国登山協会との関係を築き、中国語を学びながら訪中を重ねました。2003年にはルオニイの登頂を目指す神戸大学隊の隊長として活動しましたが、悪天候により登頂は果たせませんでした。

平井は京都大学学士山岳会や日本山岳会、神戸大学山岳会、甲南山岳会の名誉会員としても活躍しています。登山を通じて分析した自然の美しさや厳しさは、彼の工学研究にも影響を与えていることでしょう。

主な著書

平井は多くの著作を残しています。工学に関しては「非線形制御」や「ダイナミカルシステム解析の基礎」などの著作があり、また共著として「非線形制御システムの解析」も手掛けています。登山に関する著作では、「初登頂：花嫁の峰から天帝の峰へ」や「わが登山人生」という自身の経験を綴った書籍もあります。これらの著作は、彼の知識と情熱を表現した貴重な文献となっています。

平井一正は、工学と登山の両方において多大な影響力を持つ存在として、今もなお尊敬されています。

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