平井久

平井久

平井久（ひらい ひさし、1928年8月10日 - 1993年3月12日）は、日本の心理学者であり、上智大学の教授を務めました。彼の専門領域は、行動病理学やバイオフィードバック法など多岐にわたり、これらの分野における最新の知見を日本に積極的に導入し、その発展に大きく貢献しました。

経歴と人物

1953年に早稲田大学第一文学部心理学専修を卒業後、同大学院文学研究科博士課程を単位取得満期退学しました。1965年には、「回避行動の実験的分析」と題する研究で早稲田大学から文学博士号を取得しています。

平井久の研究は、行動病理学、バイオフィードバック法といった分野に集中しており、これらの領域における最新の動向を日本に紹介し続けました。上智大学教授在職中の1993年3月に急逝されました。なお、児童精神科医、小児科医であり、大妻女子大学名誉教授である平井信義は実兄にあたります。

研究内容

平井久は、心理学研究において多岐にわたるテーマに取り組みました。以下に代表的な論文をいくつか紹介します。

シロネズミの反応固定現象: この研究では、動物の行動における特定の反応が固定化される現象について探求しました。
回避行動に関する研究: 回避行動のメカニズムや、その行動に影響を与える要因について実験的に分析しました。
シロネズミの回避反応の消去に及ぼすトランキライザーの効果: 薬物が動物の回避行動に与える影響について検証しました。
概念構成の研究: 正・負のインスタンスが概念の学習に与える影響について研究しました。
言語行動の条件づけに関する研究: 言語行動がどのように条件づけられるか、そのメカニズムを明らかにしようとしました。
行動療法ならびに行動変容の学習理論的基礎づけとその適用: 行動療法や行動変容の理論的な基盤について考察しました。
攻撃行動の諸学説: 攻撃行動に関する様々な学説を比較検討しました。
心身症と学習効果: 心身症に対する学習の効果について研究しました。
バイオフィードバック: バイオフィードバックの技術的な側面や、その応用について解説しました。
スモン病患者への末梢皮膚温バイオフィードバック訓練の1適用例: 実際の臨床例を通じて、バイオフィードバックの有効性を示しました。
動物における外傷の対処不可能性と胃損傷の発生: 動物実験を通じて、心的外傷が身体に与える影響について研究しました。
回避行動に関する最近の諸問題と諸学説: 回避行動に関する最新の研究動向をレビューしました。
筋活動の学習と知覚の研究に関する最近の動向：バイオフィードバック法の適用: 筋活動の学習におけるバイオフィードバックの応用について考察しました。
末梢皮膚温の制御訓練に伴う生理学的反応のパターニング: 皮膚温の制御訓練が生理的な反応に与える影響について調べました。
バイオフィードバック基礎研究における最近の動向：HR,EMG,STとEEGαの文献より: バイオフィードバックに関する基礎研究の動向を、生理学的指標に基づいて分析しました。
健康,ストレス,免疫に関する研究の分類と文献目録: 健康、ストレス、免疫に関する研究を分類し、文献目録を作成しました。
学習性無力感に関する帰属理論についての研究: 学習性無力感の理論的な背景について研究しました。
抑うつの素質―ストレス・モデルの実験的研究: 抑うつの素質とストレスの関係について実験的に検証しました。
* 心理的ストレスと対処反応: 心理的ストレスに対する対処反応について考察しました。

平井久の研究は、行動心理学、臨床心理学、生理心理学など、幅広い分野に影響を与え、日本の心理学の発展に大きく貢献しました。

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