平井昌信

平井 昌信

日本の造園家であり、東京農業大学で造園学の研究・教育に長く携わった人物。1924年に生まれ、2019年（平成31年）1月にその生涯を閉じた。公共空間における緑地の重要性を深く理解し、多くの公園や緑地の設計を通じて日本の国土緑化に貢献したことで知られる。

生涯とキャリア

平井昌信は、1945年に東京農業大学を卒業した。卒業後は造園家としての道を歩み始め、同時に母校である東京農業大学において造園学科の助教授を務めた。大学での教育活動を通じて、多くの学生に造園の知識と技術を伝え、後進の育成に尽力した。教育者としての立場に加え、実践的な造園設計にも深く関与し、理論と実践の両面から日本の造園界を支えた。また、東京農業大学の同窓組織である東京緑友会においては、相談役として組織の運営や会員の活動を支援するなど、母校との関わりも生涯にわたって続いた。

主な業績と受賞歴

平井昌信の造園家としての功績の中で特に注目されるのは、国営武蔵丘陵森林公園の設計である。この公園は、埼玉県比企郡滑川町と熊谷市にまたがる広大な敷地に、自然の地形や植生を生かしつつ、国民のレクリエーションや健康増進に資する空間として整備された大規模な都市公園である。平井は、この武蔵丘陵森林公園をはじめとする一連の公共緑地の設計に携わり、その質の高さと公共性への貢献が広く認められた。

これらの優れた造園設計の業績が評価され、平井昌信は重要な賞を受賞している。

• - 日本造園学会賞: 1974年度（昭和49年度）には、武蔵丘陵森林公園を含む一連の造園設計に対して、日本造園学会賞を受賞した。これは、日本の造園分野で最も権威のある賞の一つであり、彼の設計が学術的かつ実践的な観点から極めて高い水準にあることが証明された形となった。
• - 日本公園緑地協会北村賞: さらに、1993年には第15回日本公園緑地協会北村賞を受賞している。この賞は、公園緑地に関する計画、設計、管理運営などで顕著な功績があった個人や団体に贈られるものであり、彼の長年にわたる公園緑地の整備・普及への貢献が改めて評価されたものである。

これらの受賞は、平井昌信が日本の公共空間における造園の発展に果たした役割の大きさを物語っている。

著作

造園に関する専門知識や経験をまとめた著作も発表している。中でも、『都市緑地の計画と設計』（彰国社、1987年刊）は、都市部における緑地のあり方やその計画・設計手法について詳細に論じたものであり、この分野を学ぶ者や実務に携わる者にとって重要な参考文献となっている。彼の著作は、教育者・研究者としての知見と、造園家としての実践に基づいたものであり、現代の造園思想や技術の発展にも影響を与えたと考えられている。

平井昌信は、教育、設計、著作活動を通じて、日本の造園界に多大な貢献を残した人物である。彼の設計した緑地空間は、現在も多くの人々に利用され、憩いの場を提供し続けている。

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