平和のための結集決議

国際連合総会決議377 A「平和のための結集」

国際連合総会決議377 A、通称「平和のための結集」決議は、国際的な平和と安全の確保を目的として、常任理事国の合意が得られない場合に国連総会が行動を起こす権限を持つことを規定した重要な決議です。この決議が採択された背景には、国際連合安全保障理事会（安保理）の機能が常任理事国の拒否権によって妨げられる場合があります。

この決議は1950年10月に安保理の停滞を受けてアメリカ合衆国が主導し、7ヵ国が共同で提出しました。その目的は、特に朝鮮戦争中にソ連が安保理での拒否権を行使したことから、さらなる保護措置を国連に与えることでした。この背景は、安保理が国際的な平和と安全を維持するための主要な責任を果たせない時に、総会が代わりに迅速に措置を講じることができる仕組みを確立するものです。

緊急特別総会の設置

この決議の中で設けられた「緊急特別総会」（ESS）は、安保理が行動をとれない場合に迅速に招集され、加盟国に対して必要な勧告を行う仕組みです。これにより、総会は緊急時に国際的な平和と安全を取り戻すための集団的措置を提案することができます。1970年から2022年の間に、この緊急特別総会は10回以上招集され、最近では2022年のウクライナの問題に対しても発動されました。

重要な論議と発言

決議の採択に至る過程では、特に朝鮮戦争に関する重要な発言がなされています。アメリカの代表であるジョン・フォスター・ダレスは、平和を維持するための強力なシステムの構築の必要性を強調し、集団的抵抗がなければ第三次世界大戦を避けることは難しいと警告しました。また、他国の代表者も、この決議が侵略行為に対する明確なメッセージとなり、世界の平和を守る意義を強調しています。

安保理の拒否権と総会の権限

「平和のための結集」決議の最も重要な点は、安保理がその主たる責任を果たせない場合に、国連総会として行動をとる権限があることです。この点に関しては、国際連合憲章に基づく解釈が注目されており、総会は安保理の拒否権が働く状況でも必要な措置を講じることができるとの立場が広がっています。

この決議に対する理解の中で、安保理の機能の停滞を乗り越えるための解決策として、総会が最終的な責任を持つという議論が次第に強まりました。国際社会において、国連の役割を見直す中で、この決議が持つ力はますます重要性を増しています。

おわりに

「平和のための結集」決議は、国際社会が直面する安全保障の難題に対応するための有力な手段となっています。国際連合の枠組みの中で、加盟国はこの決議を通じて、平和と安全の維持に向けた具体的な行動を促すことが求められています。今後もこの決議の意義を理解し続け、議論を深めていくことが必要です。

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