平和宮

平和宮：国際平和と司法の殿堂

オランダのハーグに位置する平和宮は、国際法に関する主要な組織が拠点を置く象徴的な建築物です。1913年の完成以来、国際平和と正義の追求において重要な役割を担ってきました。その歴史、建築、そしてそこに集う組織について詳しく見ていきましょう。

建物の歴史と背景

平和宮の建設は、1899年の[万国平和会議]]で締結された国際紛争の平和的解決条約に端を発します。この条約に基づき設立された常設仲裁裁判所]のために、新たな建物が必要とされました。アメリカの外交官アンドリュー・ディクソン・ホワイトの働きかけにより、実業家[[アンドリュー・カーネギーが建設費150万ドル（現在の価値で約4000万ドル）を拠出しました。

カーネギーは、国際法に関する図書館の設立にも意欲的で、平和宮にはその図書館も併設されることとなりました。設計は国際コンペで選ばれたフランス人建築家ルイ＝マリ・コルドニエとオランダ人建築家ヨハン・アドリアヌス・ジェラール・ファン・デア・ストールによる共同作業で、ネオルネッサンス様式を採用。各国からの寄贈品も数多く使用されており、ロシアからの巨大な壺、ベルギーの扉、イタリアの大理石、日本製の絨毯など、様々な国の貢献が建物に刻まれています。1907年には第2回万国平和会議が開催され、その際に礎石が据えられました。

建設には、当初案からの変更やコスト削減もありました。例えば、当初予定されていた鐘楼は減らされ、図書館の設計も変更されました。庭園についても、デザインコンペで選ばれた案から一部変更されています。1913年8月28日、落成式が盛大に行われ、カーネギーは戦争終焉への希望を込めた演説を行いました。2014年にはヨーロッパ文化遺産ラベルにも認定されています。

平和宮に集う国際組織

平和宮には、いくつかの重要な国際組織が拠点を置いています。

[常設仲裁裁判所]: 1901年設立。平和宮の開館当初から入居しており、国際紛争の仲裁や調停を行う機関です。
[国際司法裁判所]: [国際連合]]の主要司法機関。国際法上の紛争を解決するために設立され、平和宮に移転後も活動を続けています。前身は常設[[国際司法裁判所]です。
平和宮図書館: カーネギーの提案で設立された図書館。国際法に関する貴重な文献を所蔵しており、特に古典文献の収集に力を入れています。
オランダ・カーネギー財団: 平和宮の建設、維持管理を行うために設立された財団。ウォータラー平和賞の授与も行っています。
* ハーグ国際法アカデミー: 国際法の研究・教育を行う機関です。

なお、国際刑事裁判所など、他の国際機関がハーグに存在しますが、平和宮とは別の場所に位置しています。

平和宮の意義

平和宮は、単なる建物ではなく、国際平和と法の支配への強い意志と、多国間協力の象徴です。その建築美と歴史的意義は、世界中の人々に平和への希望と法の尊重の重要性を訴え続けています。宮殿内には、世界の平和運動家にまつわる展示も多く、来訪者に平和へのメッセージを伝えています。平和宮は、今後も国際社会の平和と正義に貢献していく拠点として、その役割を果たし続けるでしょう。

もう一度検索