平成23年台風第21号

平成23年台風第21号（Washi）

平成23年台風第21号、アジア名「Washi」（フィリピン名「Sendong」）は、2011年12月に発生し、フィリピンに甚大な被害をもたらした台風です。台風は、カロリン諸島で熱帯低気圧として誕生し、わずか数日後の15日に台風へと発達しました。その際、日本により「Washi」という名が付けられ、フィリピンでは「Sendong」と呼ばれました。

台風は西に進み、発生から間もない15日の午後にはフィリピン南部のミンダナオ島に接近しました。この日、夜間にはすでに東ビサヤス地域で降雨が始まり、16日午後にはミンダナオ島への上陸が確認されました。台風はその後、17日の早朝にミンダナオを横断し、スールー海へ抜けた後、18日にはパラワン島に再上陸、その後南シナ海において熱帯低気圧に変わり、消滅しました。

この年の11月には台風の発生がなかったため、Washiの発生は約2ヶ月ぶりの出来事でした。台風20号の影響でシーズンが早く終了する可能性もありましたが、Washiの発生によりその可能性は消えました。

被害の概況

Washiはフィリピンに大きな被害を引き起こしました。影響を受けた地域はミンダナオ島の5州をはじめ、ネグロス島、セブ島、ボホール島を含む32都市に及びました。特にイリガン市とカガヤン・デ・オロ市では被害が深刻化しました。鉄砲水、洪水、土砂崩れなどが相次ぎ、報告によれば2,500人以上が死亡したとされる他、1万棟を超える建物が被害を受けたとされています。

台風の中心気圧は992hPaとそれほど強くはありませんでしたが、被害がこれほど深刻であった要因にはいくつかの点が挙げられます。ミンダナオ島はルソン島に比べ経済的に貧しく、災害対策の整備が遅れていました。また、台風の襲来が深夜であったため、多くの人々が避難せずに自宅で就寝しており、逃げ遅れたケースが多数発生しました。さらに、長時間にわたる大雨が引き起こした鉄砲水や土砂崩れが、洪水の被害を一層拡大させました。

イリガン市とカガヤン・デ・オロ市は、同じ山地から流れる川の河口に位置しており、そのため集中豪雨が発生すると特に影響を受けやすい状況でした。このように、地形的な要因も大きく影響しました。

その他の情報

台風のアジア名「Washi」は、この台風限りで使用が中止され、次に使用されるアジア名は「Hato」となります。しかし、Hatoも2017年までの使用にとどまり、その後「ヤマネコ」に変わりました。フィリピンでの命名である「Sendong」も同様に、この台風以降は使用されず、次に「Sarah」という名称が付けられました。

Washiの影響は、直接的な被害だけでなく、フィリピンにおける災害対策や防災意識の向上にも寄与することとなりました。

もう一度検索