平成24年台風第17号

平成24年台風第17号（ジェラワット）

平成24年台風第17号は、2012年9月21日に発生した台風です。アジア名は「ジェラワット (Jelawat)」で、マレーシアの淡水魚に由来します。

概要

台風17号は、9月17日にグアム島東方で熱帯低気圧として発生し、発達しながら北上しました。9月21日3時、フィリピンの東の海上で台風となり、当初は南西に進みましたが、その後進路を北に変え、急速に発達しました。最盛期には中心気圧905hPa、最大瞬間風速80m/sという猛烈な勢力にまで成長し、大型で非常に強い台風として沖縄地方に接近しました。

9月28日には先島諸島に接近し、石垣島で最大瞬間風速50.6m/sを観測。その後、進路を北東に変え、29日には沖縄本島を通過し、那覇市で最大瞬間風速61.2m/sを記録するなど、猛威を振るいました。30日には速度を上げながら本州の南海上を北東に進み、和歌山県潮岬や三重県志摩半島をかすめ、19時頃に愛知県東部に上陸しました。

上陸時の勢力は、中心気圧975hPa、最大風速35m/s、最大瞬間風速50m/sで、時速50kmでした。その後も速度を上げながら、山梨県、福島県を通過し、10月1日午前5時頃には岩手県宮古市の東の海上に抜けました。台風は北海道東岸を北東に進み、同日21時に千島列島東方海上で温帯低気圧に変わりました。

経過

9月21日3時：フィリピン東方で台風17号発生
9月25日9時：中心気圧905hPaを記録
9月29日：南西諸島が暴風域に
9月30日19時頃：愛知県東部に上陸
9月30日：関東地方北部を通過し、東北地方を縦断
10月1日朝：三陸沖に到達

気象状況

大雨

東海地方や関東甲信地方を中心に記録的な大雨となりました。三重県では、日最大1時間降水量が70mmを超え、日最大3時間降水量も150mmを超えるなど、9月としての観測記録を更新した地点がありました。

1時間雨量
三重県亀山市：79.0mm
三重県四日市市：76.0mm

暴風

東海地方や関東地方の沿岸部、伊豆諸島を中心に非常に強い風が吹き荒れました。

最大瞬間風速
愛知県常滑市：34.5m/s
三重県尾鷲市：30.4m/s
最大風速
東京都三宅村：25.1m/s
* 三重県尾鷲市：17.2m/s

被害状況

2012年10月22日時点で、死者は三重県で1名、負傷者は重傷者19名、軽傷者161名にのぼりました。住居被害も甚大で、全壊48棟、半壊161棟、一部破損1,596棟、床上・床下浸水946棟が発生しました。被害は北海道から沖縄県までの広範囲に及びました。

影響

交通機関

石垣島や宮古島と離島を結ぶ船便が多数欠航し、公共施設の閉鎖や道路の冠水も発生しました。

停電

沖縄電力管内では、全供給世帯の過半数を超える33万4400戸が停電しました。九州電力管内でも、鹿児島県奄美地方を中心に約62,300戸が停電したほか、愛知県や静岡県でも大規模な停電が発生しました。

その他

沖縄県内各地で強風にあおられて転倒負傷する人が多数発生し、那覇市内ではトラックや乗用車の横転事故が相次ぎました。名護市などでは避難勧告も出されました。関東地方では、台風による降雨によりダムの貯水率が回復し、取水制限が解除されました。

航空・鉄道

9月30日には、日本航空や全日空などで500便以上が欠航しました。鉄道も、東海道新幹線をはじめとする各路線で運転見合わせや遅延が発生しました。

スポーツ・音楽

プロ野球やJリーグの試合が延期、中央競馬の開催中止、コンサートの中止など、様々なイベントに影響が出ました。

テレビ放送

NHKは、台風関連ニュースを随時放送しました。東北地方を除く地域では、全国放送の番組を休止して台風ニュースを放送するなどの対応が取られました。

台風17号は、広範囲にわたって甚大な被害をもたらした災害であり、その影響は社会の様々な側面に及びました。

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