平成29年台風第27号

平成29年台風第27号（テンビン）

平成29年台風第27号、アジア名「テンビン」(Tembin)は、2017年12月に発生し、特にフィリピンに大きな影響を及ぼした台風です。この台風は特にミンダナオ島での被害が大きく、多くの人命が失われました。

発生と経過

この台風の形成は2017年12月16日頃に始まりました。チューク諸島近海で低圧部が発生し、同日中に熱帯低気圧に発達しました。低圧部は一時的に弱体化しましたが、12月20日にパラオ近海で再び熱帯低気圧となり、フィリピンの気象当局であるPAGASAによって「ヴィンタ」という名前が付けられました。その晩、JTWCも熱帯低気圧形成警報を出しました。

12月21日午前3時、ヴィンタはミンダナオ島の東方で中心気圧1,000hPa、最大風速18m/sの台風27号となり、「テンビン」の名が与えられました。この名称は日本から付けられ、「てんびん座」を示しています。その後、台風は緩やかな進行速度で西へ向かい、22日の夜にはミンダナオ島に上陸しました。台風は島を横断し、スールー海を経て、最終的には12月25日21時にベトナムの南方で熱帯低気圧に変わりました。

被害の状況

台風の強い風と豪雨は、フィリピン特にミンダナオ島に甚大な被害をもたらしました。ミンダナオ島では、集中豪雨が引き起こした洪水や地滑りが報告され、結果として200人以上の命が失われたとされています。特にサンボアンガ半島のアヌンガン村では、河川の氾濫により家屋が流され、多くの人々が避難を余儀なくされました。

また、多くの地域で通信インフラや電エネルギーが途絶え、橋の倒壊や土砂崩れが発生するなど、交通が麻痺する状態となりました。孤立した地域では、救助活動が難航し、住民にとって非常に厳しい状況が続きました。

毎年、フィリピンでは約20個の台風が上陸し、その度に避難警報が出されますが、今回の台風でも多くの住民が警報を無視したため、結果的に大きな被害を受けたという報告がありました。

使用名の変更

「テンビン」という名前は、この台風限りでの使用が中止されることが決まりました。以降のアジア名には「コイヌ」（Koinu）が使用されることになり、さらにフィリピン名「ヴィンタ」も「ヴァーベナ」（Verbena）という名前に変更されることが通知されました。

結論

この台風はフィリピンに多くの悲劇をもたらしましたが、その影響は国内外に広がり、気象災害の脅威を再認識させる出来事となりました。被害を受けた地域の復興には多くの時間がかかるでしょうが、今後の台風対策や警報体制の見直しが重要となると考えられます。

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