平成3年台風第19号

平成3年台風第19号（ミレイユ）

1991年に発生した平成3年台風第19号は、強力な風とともに日本列島を襲い、特に東北地方のリンゴ農園に甚大な影響を及ぼしました。この台風は、通称「リンゴ台風」として知られ、広範囲にわたる被害を引き起こした原因が数多くあります。台風が日本に上陸したのは1991年9月27日で、その風速と中心気圧の低さから極めて危険な台風であったことが伺えます。

台風の発生と経路

台風は1991年9月16日にマーシャル諸島の近くで形成され、次第に勢力を強めていきました。9月23日にはフィリピンの東海上で、925hPaの中心気圧と最大風速50m/sを記録するに至ります。その後、長崎県佐世保に上陸し、さらに山口県を経て日本海を北上。9月28日には北海道に再上陸を果たしました。この進路の選択が、各地に深刻な暴風被害をもたらした要因となりました。

被害の内容

この台風の影響で、日本全国で62名が亡くなり、1,261名が負傷しました。また、保険による損害の総額は驚異の5,679億円にのぼり、これは台風による損害としては過去最高の金額でした。特に、東北地方ではリンゴ農園に甚大な被害が出たことで、農家は経済的な打撃を受けることとなりました。青森県内の農園では、収穫前のリンゴがほとんど落下してしまい、直接市場に出せないリンゴが発生。多くは加工品に使われたり、小学校の給食として利用されました。実際、この年の被害面積は22,400ヘクタール、被害数量は388,000トンと推定されています。

また、風の影響で最大瞬間風速を記録した地域が全国26箇所に達し、特に阿蘇山では60.9m/sを記録しました。台風の接触時における風速の高さが、全国各地に風害を引き起こし、特に建物が倒壊したり、交通機関が麻痺する事態が発生しました。

地域別の被害

東北地方

青森県では約741億7千万円の被害が出た他、長期的なリンゴ農園への悪影響が残る結果となりました。

北陸地方

石川県や富山県では、庭木の倒木や火災の発生が見受けられ、多くの地域で風速計の破損が記録されました。

九州地方

九州北部では停電が相次ぎ、特に福岡県と長崎県での被害が大きく、交通網が麻痺する場面もありました。特に博多湾では貨物船の沈没という事態も起き、国際的な影響も及べました。

台風の教訓

この台風は、日本列島において極めて強い台風が接近した際の危険を示す重要な事例となりました。各地の防災対策が必要であることが広く認知され、青森県のリンゴ産地では以後、台風の接近に伴う早期収穫が行われるようになりました。

台風第19号は、被害の象徴とも言える存在であり、その影響は今日においても各地の防災戦略に引き継がれています。

もう一度検索