平成9年台風第9号

1997年台風第9号（ロージー）: 日本列島を襲った猛威

1997年7月、台風第9号（国際名:ロージー）は、日本の太平洋沿岸に甚大な被害をもたらしました。フィリピン東海上を発生源とし、勢力を増しながら北上、7月26日には徳島県阿南市付近に中心気圧970hPaという強い勢力で上陸。その後、岡山県備前市にも上陸し、中国地方を横断しました。

上陸後も勢力を維持した台風は、山陰沖で停滞、熱帯低気圧に変わる前に、複雑な経路をたどり北陸地方西部から東海地方へと南下するなど、その動きは予測困難なものでした。最終的に、7月31日に紀伊半島の南海上で消滅しました。

記録的な豪雨と強風

この台風とそれに伴う熱帯低気圧は、東海、近畿、四国、中国地方などで大雨をもたらしました。特に紀伊半島は集中豪雨に見舞われ、奈良県上北山村日出岳では期間降水量が958mm、日降水量734mmという驚異的な数値を記録。山沿い地域では、600～800mmの降水量を観測しました。広島県や島根県の一部でも500mmを超える雨が降り、関東北部でも100mm以上の降水がありました。

強風も各地で観測されました。四国地方から東海地方にかけては、20m/s前後の風が吹き荒れ、三重県津市では最大風速26.6m/s（最大瞬間風速35.4m/s）、高知県室戸市室戸岬では最大風速37.5m/s（最大瞬間風速52.2m/s）という記録的な数値を記録。高知県佐喜浜では、有義波高8.73mを観測、これは1977年の観測開始以来最大となりました。また、台風が日本海へ抜けた後にはフェーン現象が発生し、北陸地方などで猛暑に見舞われました。

広範囲にわたる被害

台風9号の被害は甚大でした。人的被害としては、死者20名、負傷者47名という痛ましい結果となりました。住家被害も深刻で、全壊8棟、破損70棟、浸水家屋2,057棟にのぼります。さらに、道路破損265箇所、山・がけ崩れ169箇所、堤防決壊27箇所など、インフラへの被害も多岐にわたりました。

この台風は、様々なイベントにも影響を与えました。鳥人間コンテスト選手権大会は全面中止、Jリーグオールスターサッカーは延期。FNS27時間テレビの企画も、台風の影響でルート変更や中止を余儀なくされました。鈴鹿8時間耐久ロードレースではスペシャルステージが中止となり、4時間耐久レースは3時間に短縮されました。

まとめ

1997年台風9号は、その強大な勢力と予測困難な経路、そして広範囲にわたる豪雨と強風により、日本列島に甚大な被害をもたらした台風として、歴史に刻まれています。この台風は、災害への備えの重要性、そして気象情報の正確な把握と迅速な対応の必要性を改めて認識させる、大きな教訓となりました。記録的な降雨量や風速、高波、そして様々なイベントへの影響は、現代においても防災対策を考える上で重要な事例として引き継がれています。

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