平松一夫

平松一夫氏は、1947年8月10日に兵庫県川西市で生まれた、日本の著名な会計学者である。専門は財務会計および国際会計であり、長年にわたり研究と教育に情熱を注いだ。関西学院大学の教授、学長、学校法人理事長を歴任し、退職後は名誉教授となった。

平松氏の学究生活は、中学部から大学院までを一貫して関西学院で送った。1970年に関西学院大学商学部を卒業後、同大学商学研究科に進み、1975年に博士課程を修了した。大学院修了後、1975年4月には母校の商学部専任講師として教員キャリアを開始し、助教授を経て1985年4月には教授へ昇任した。この間、1977年から1979年にかけて米国ワシントン大学で客員研究員として国際的な視点を深めた。1987年3月には、著書『外部情報会計』を基に商学博士の学位を授与された。

教育活動に加え、大学運営にも深く関与した。2002年4月から2008年3月まで関西学院大学の学長を務め、大学の発展に貢献した。2016年3月に定年退職し名誉教授となった後、2019年4月からは学校法人関西学院の理事長も務めた。

平松氏の研究は、財務会計や国際会計基準、会計基準の国際的な調和など、現代会計学の重要課題に焦点を当てた。その成果は多数の著作として発表されており、代表的なものに『外部情報会計』、『年次報告書会計』、『国際会計の新動向』などがある。これらの単著に加え、共編著、監修、翻訳書も多数手掛け、会計基準、財務報告、企業分析など幅広いテーマで日本の会計学の発展に寄与した。

学外における平松氏の活動は極めて広範に及び、日本の会計学界および実務界において指導的な役割を果たした。特に、世界会計学会会長、企業会計審議会会長、日本会計研究学会会長など、国内外の主要な会計関連組織や公的な審議会で要職を歴任したことは特筆される。これらの活動を通じて、日本の会計制度や会計基準の議論に多大な影響を与えた。また、日本学術会議会員としても学術振興に貢献した。

教育者としても優れた手腕を発揮し、多くの優れた会計学研究者や実務家を育成した。平松氏の指導を受けた門下生は、現在、日本の大学や研究機関などで活躍しており、日本の会計学研究の将来を担う存在となっている。

平松一夫氏は、生涯を会計学の研究と教育、そして学術界・実務界の発展に捧げ、その多岐にわたる活動と功績は、日本の会計学史において重要な一頁を占める。国内外での指導的な役割、多くの後進の育成など、その貢献は高く評価されている。2020年12月2日、73歳で惜しまれながら逝去した。

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