平王東遷

平王東遷：東周の始まり

平王東遷は、紀元前8世紀に周王朝の平王が都を東の洛邑（現在の洛陽）に移した出来事であり、東周時代の幕開けを告げるものでした。この遷都は、周王朝の歴史における重要な転換点と位置づけられています。武王が周を建国し、幽王が亡くなるまでを西周、平王が遷都して以降を東周と呼び、区別しています。

平王東遷の原因

平王東遷の背景には、周王朝内部の深刻な対立がありました。幽王は寵妃である褒姒が産んだ子を太子に立てるため、正室の子である宜臼を廃太子としました。この決定に不満を持った宜臼は、母の実家である申侯のもとに逃れました。幽王は申侯を討とうと軍を差し向けますが、申侯は犬戎の兵を率いて反撃し、幽王とその太子を殺害しました。

幽王の死後、虢の諸侯は幽王の弟である余臣を擁立して携王としました。一方、申侯、魯侯、許の文公らは宜臼を平王として擁立し、周王朝は2人の王が並立する異常事態となりました。この状態は約21年間続きましたが、紀元前750年に携王は晋の文侯によって殺害され、争いは終結しました。

しかし、その後も周王朝の混乱は収まらず、諸侯は朝貢を怠るようになります。このような状況の中、晋の文侯の支援を受けた平王は、紀元前738年に洛邑への遷都を決定し、東周時代が始まりました。

平王東遷の影響

平王は、父である幽王を殺害した勢力によって擁立されたという経緯から、諸侯からの信頼を得ることができませんでした。その結果、周王室の権威は著しく低下し、名目的な君主へと立場が変化しました。周王室は諸侯を統率する力を失い、諸侯が独自の勢力を拡大していくことになります。周王室には外敵からの侵攻に対抗する力も残されておらず、諸侯に頼らざるを得ない状況でした。

このような状況下で、斉、楚、秦、晋といった有力な諸侯が台頭し、互いに覇権を争う春秋時代へと移行していくことになります。平王東遷は、周王朝の衰退を決定づけ、春秋戦国時代の幕開けを告げる出来事だったと言えるでしょう。

東遷の年についての論争

清華簡の研究によれば、平王東遷は紀元前738年とされています。『左伝』僖公二十二年においても、この説を検証しています。

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