年増女

年増女について

年増女（としまおんな）という言葉は、主に年齢が若い女性を越えた女性を指します。このカテゴリーは、女性の年齢に基づいて年増（としま）、中年増（ちゅうどしま）、大年増（おおどしま）という具合に分けられます。特に美しい年増女の時期は「年増盛（としまざかり）」と評価されることもあります。

江戸時代では、年齢の区切りが明確で、20歳になると年増、25歳で中年増、30歳で大年増と言われていました。戦後から昭和時代にかけては、30歳を過ぎた女性を年増と称することが一般的でした。特殊な時代背景の中で、年増女の結婚適齢期は武家の女性においては10代後半から25歳とされ、一般の女性では16歳から17歳が最も適していると見做されていました。特に19歳になると、年齢的に「トウが立つ」とされ，中年増と呼ばれるようになりました。

歴史的に見て、30歳を超えた女性は大年増に分類され、その場合、結婚については再婚男性に限られることが一般的でした。このような結婚に関する考え方は、当時の社会観や文化に深く根ざしていました。意外なことに、徳川家康は年増女を好んだといわれていますが、彼が関ヶ原の戦いにおいて伴った女性たちは、まだ15歳から16歳という若い年齢の女性でした。

用例の紹介

年増女という言葉は、様々な文学・芸術作品にも見られます。以下にいくつかの用例を紹介します。

• - 落語では、初代米澤彦八の作『軽口御前男』に「是は大きなとしまじゃ」という台詞があり、年増女への印象が語られています。
• - 素浄瑠璃では、近松門左衛門の作品『津国女夫池』で「としまのよねは、もん日におはるる」という表現があり、年増女の特性を描写しています。
• - 洒落本の夢中散人寝言先生の著作『辰巳之園』でも「姉女郎あれば年廻あり」という言葉があります。
• - 短編小説では、徳田秋声の『時の流れ』に「この世界では、二十二三ともなれば、それはもう年増の部類で」という描写があります。
• - また、太宰治の『ヴィヨンの妻』には「旦那は、或る年増女に連れられて店の勝手口からこっそりはいってまいりましたのです」との一文もあります。
• - 漫画『めぞん一刻』では、ヒロインの響子が自分を「大年増ですわ」と表現している場面もあります。
• - 小説『余興』では、森鷗外が「柳橋で私の唯一人識っている年増芸者であった」と年増女の存在を描写しています。
• - 漫画作品以外にも、アニメ『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』第9話で登場人物が「もしかして、年増好みなんですか？」と問うシーンもあります。

歌舞伎でも年増を扱った曲目が存在し、三代目櫻田治助の作品『花翫暦色所八景』の一つに「年増」という通称の曲があります。これらの作品が示すように、年増女は日本の文学や文化において多様な形で表現されてきました。

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