幼稚園令

幼稚園令について

幼稚園令（ようちえんれい）は、1926年4月22日に公布された、日本における幼稚園の運営方針を定めた法令です。この法令は大正15年勅令第74号として、幼児教育の基盤を築く重要な役割を果たしました。

目的

幼稚園令は、幼児を保育し、心身の健全な発達を促進することを主な目的としています。具体的には、「善良な性情を涵養し、家庭教育を補う」ことが謳われており、子どもの成長を支える環境を整備することが重要視されています（第1条）。

設置者

幼稚園の設置には、市町村や町村学校組合、さらには個人も関与できることが規定されています。設置や廃止の手続きは地方長官の認可が必要で、また小学校に附属する幼稚園の設置も許可されています。これにより、地域に根ざした幼児教育の形が可能となりました。

入園資格

幼稚園に入園するための資格は、3歳から6歳未満の幼児に限られます。ただし、特例として3歳未満の幼児を入園させることも認められています。この柔軟な資格設定は、親のニーズや子どもたちの早期教育の機会を考慮したものです。

職員

幼稚園の職員には、園長と保姆が含まれます。保姆は原則として、保姆免許を持つ女性が求められます。この免許状は、府県が経費を負担し、小学校教員検定委員会による試験に合格した者に対して地方長官が授与します。これにより、専門的な教育を受けた職員が幼稚園で働くことが求められています。

保育入園料

公立幼稚園では管理者が、私立幼稚園では設設立者が入園料の金額を決定します。その際には、必ず地方長官の認可を受ける必要があり、透明性のある料金設定が求められています。これにより、保護者が安心して入園手続きを行うことができます。

施行規則

幼稚園令は、その施行に関連する規則も同時に公布され、運用に関する具体的な指針が示されました。この「幼稚園令施行規則」は、幼稚園令の内容を具体化するための重要な文書です。

廃止

幼稚園令は、1947年3月31日に学校教育法（昭和22年法律第26号）が施行されることに伴い、正式に廃止されました。この法令の廃止は、日本の教育制度全体が大きく変革する中で起こった重要な出来事でした。

まとめ

幼稚園令は、日本における幼児教育の黎明期を支えた重要な法令であり、今なお幼稚園の教育理念や運営の基本に影響を与えています。教育制度は時代と共に変わっていく中で、幼児教育の基礎を築いたこの法令の意義は忘れてはならないと言えるでしょう。

もう一度検索