幾島

幾島の生涯とその影響

幾島（いくしま）は、文化5年6月18日（1808年7月11日）に生まれ、明治3年4月26日（1870年5月26日）に63歳で亡くなりました。彼女は江戸幕府13代将軍である徳川家定の正室・篤姫（天璋院）に仕えた御年寄であり、その生涯には多くの歴史的出来事が絡んでいます。

出自と初期の経歴

幾島の名字は「朝倉」で、名は「糸」です。彼女の父は薩摩藩の御側用人である朝倉孫十郎景矩、母は久保田藩士の娘である民です。幾島は当初「藤田」と名乗り、薩摩藩の島津斉宣の娘・郁姫付きの上臈として京都の近衛邸で生活していました。郁姫が亡くなると、幾島は出家し、得浄院と名乗ります。この期間中、彼女は忠煕に仕え、郁姫の菩提を弔うことを第一の仕事としていました。

大奥への仕官

その後、篤姫の徳川家定への嫁入りが決まり、幾島は再び名前を「幾島」に改め、篤姫付きとして大奥に入る準備を整えました。彼女は篤姫の教育係を務め、大奥入居までの間に彼女に対する支援を行いました。さらに、大奥では江戸城と薩摩藩との間の情報連絡役を務め、西郷隆盛を介して江戸藩邸の奥老女小ノ島と連絡を取り、家定の継嗣問題や薩摩藩との連携においても重要な役割を果たしました。

大奥での活動と後の変遷

幾島は、養女として公家の一員に迎えられながらも、上臈ではなく御年寄としての職に就いていました。御年寄は大奥の実権を握る存在であり、幾島もその一人として権力を持ちながら活動していました。ところで、彼女の名前は篤姫付きの女中名簿には存在しないものの、「つぼね」という名の御年寄として記載されています。このつぼねは今大路孝由に所縁するとされ、幾島がその人物であると考えられています。

元治元年（1864年）には体調が悪化し、以後の動向が不明となりましたが、翌年までは大奥で確認されています。その後、幾島は大奥を隠退するものの、慶応4年（1868年）には再び大奥に戻り、天璋院（篤姫）の使者として薩摩軍との交渉に出向くなど、様々な歴史の場面で活躍しました。特に、江戸無血開城に尽力したと伝えられています。

晩年と葬儀

明治維新の後、彼女は明治3年4月26日（1870年5月26日）に東京で亡くなり、島津家の菩提寺である大圓寺に葬られました。また、幾島をしのぶ招魂碑が弟によって鹿児島の朝倉家墓地に建立されています。生前に彼女が果たした役割は非常に大きく、幕末の歴史における重要な人物の一人と評価されています。

文化的影響

幾島は、その生涯を通じて多くのテレビドラマや漫画に登場し、物語の中で重要な役割を果たしてきました。特に、『篤姫』や『翔ぶが如く』などの作品では、彼女の存在が強く印象づけられています。これにより、幾島の功績は今もなお人々の記憶に留まっています。

彼女の人生は、時代の波に翻弄されながらも、堅固な意志と貢献によって彩られたものでした。

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