広域緊急援助隊

広域緊急援助隊の概要

広域緊急援助隊（こうえききんきゅうえんじょたい）、通称「広緊隊」は、全国の都道府県警察本部に設けられた、災害対策専門の部隊です。この部隊は、大規模な災害時の迅速な救助活動を目的とし、1995年の阪神・淡路大震災を契機に創設されました。当時の震災では、多くの警察や救助隊が派遣されたものの、経験や装備が不十分なため、効果的な救助が難航しました。この経験を教訓に、日本全国で災害に即応でき、救出救助の高い能力を持つ隊が必要とされるようになったのです。

任務内容

広域緊急援助隊は、主に以下の任務を担っています。
1. 被害状況や交通情報の把握
2. 救出及び救助活動
3. 緊急交通路の確保
4. 検視や安否情報の提供

災害警備活動は、警察法第二条に基づき、災害による個人や財産の保護及び公共の安全を維持することを目的としています。特に、各都道府県警察本部の警備部が中心となり、この活動が展開されます。警備部は、暴動対策やテロ対策だけでなく、災害対策を重要な任務とし、地域の安全を守る役割も果たしています。通常の消防の緊急消防援助隊とは異なり、広域緊急援助隊は、交通整理や防犯対策、亡くなった被災者の検視など、警察ならではの機能を持つのが特徴です。

訓練と連携

広域緊急援助隊は、毎年各管区ごとに合同訓練を実施しており、体制や技術の向上を図っています。近年では、消防の救助隊員を派遣し合同訓練を行うなど、消防との連携を強化する動きが顕著です。

特に、東日本大震災を教訓に、平成25年には新たな「警察災害派遣隊」が設立され、即応部隊として被災地での活動に従事しています。これにより、より対応力のある体制の構築が進められています。

部隊の編制

全国の都道府県警察に設置されている広域緊急援助隊は、約4,700名の隊員で構成されています。隊員は、機動隊や交通[[機動隊]]、刑事部など、幅広い部門から選ばれます。広域緊急援助隊は、以下の班に分かれてそれぞれの任務を遂行します。

先行情報班

ヘリコプターやオフロードバイクを使って、迅速に被災地へ赴き、必要な情報を収集します。

救出救助班

被災地での救助活動や行方不明者の捜索を担当する特殊部隊です。

特別救助班

2005年に設立されたこの班は、複雑な災害に特化し、高度な救助能力を要するケースで活動します。全国の警察に設置され、最近では消防機関との協力も行っています。

交通対策班

交通[[機動隊]]、道警の要員で構成され、緊急交通路の確保や緊急車両への先導を行います。

検視班・被災者対応班

亡くなった被災者の身元確認や遺体の引渡し、安否情報の提供を担当します。

過去の出動事例

広域緊急援助隊は、多くの災害に対応してきました。例えば、1996年の蒲原沢土石流災害、2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など、数々の大規模災害で被災地の救助活動を行っています。このような活動により、広域緊急援助隊は災害時における信頼性の高い存在として認知されています。

広域緊急援助隊の組織は、災害への迅速な対応と救助活動を目的として、常に進化し続けています。今後も、多様な任務を着実に遂行し、安心・安全な社会づくりに貢献することが期待されています。

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