広島県道361号佐木島線

広島県道361号佐木島線（ひろしまけんどうさんびゃくろくじゅういちごう さぎしません）は、瀬戸内海の美しい風景の中に位置する広島県三原市に属する佐木島を巡る、非常に特色ある一般県道です。

佐木島は、四方を海に囲まれ、本土や他の島々とは橋で繋がっていない「離島」です。この地理的な状況こそが、本路線である広島県道361号佐木島線を他の多くの県道と一線を画す存在にしています。すなわち、この道路は外部の広範な道路ネットワークとは物理的に接続することがなく、佐木島の内部だけでその経路が完結しています。島外からのアクセスは船便に限られるため、島内の交通においては、この県道が中心的な役割を担うことになります。

路線の具体的な特徴を見てみましょう。広島県道361号佐木島線は、佐木島の外縁部、特に海岸線に沿う形で敷設されています。これにより、沿線からは瀬戸内海の穏やかな海や、点在する小規模な漁港、あるいは島の豊かな自然景観を望むことができる区間が多くあります。このルートは、島内に点在する集落を結び、島民の日常生活における主要な移動手段を提供すると同時に、島を訪れる観光客や関係者にとっても、島内各地へのアクセスを可能にする重要な基盤となっています。

路線データによると、本路線の起点は三原市鷺浦町須波、そして終点も同じく三原市鷺浦町須波とされています。この「起点＝終点」という構成は、広島県道361号佐木島線が島内を一周するループ状の路線構造を持っているか、あるいは須波地区を起点・終点として島内を往復する形態を取っていることを示唆しています。総延長は約11キロメートルに及びます。この距離は、佐木島という島の規模を考慮すると、島の主要な生活圏や海岸線を広くカバーしており、島内の移動を支えるに十分な延長と言えます。

本路線が通過する自治体は、全線にわたって広島県三原市のみです。佐木島全体が三原市鷺浦町に位置しているため、この県道も町域内に収まっています。

沿線には、佐木島で暮らす人々の生活に不可欠な公共施設やサービス施設が見られます。具体的には、島の未来を担う子どもたちが学ぶ三原市立鷺浦小学校や、島民のコミュニケーションや生活を支える鷺浦郵便局などが、この広島県道361号佐木島線沿いに位置しています。これらの施設へのアクセスを提供する本路線は、単なる道路としての機能だけでなく、島のコミュニティ活動の中心を結びつけ、佐木島の社会生活を円滑に進める上で重要な動脈としての役割も果たしています。

道路法に基づいて指定された一般県道の一つとして、広島県道361号佐木島線は広島県の道路網の一部を構成しています。しかし、その地理的な環境から、本土の幹線道路とは異なり、島という閉鎖された空間の中で完結するという独特の性質を持っています。この特異性は、佐木島という島の自然環境、歴史、そしてそこで営まれる人々の暮らしと深く結びついています。この約11キロメートルの県道は、まさに佐木島の「生命線」であり、島の静かで豊かな生活風景の一部として存在感を放っています。その存在は、都市部の道路とは異なる、離島ならではの魅力や生活感を伝えるものです。

もう一度検索