広島県道378号御幸松永線

広島県道378号御幸松永線

広島県道378号御幸松永線は、広島県福山市内に設定された一般県道の一つです。福山市北部の御幸町大字森脇を起点とし、西部の神村町までを結んでいます。路線名には「松永」と冠されていますが、実際の終点は福山市神村町に位置しており、福山市の北東部から西部にかけてを東西に横断するルートとなっています。この道路は、地域の交通網において重要な役割を担っており、その実延長は11.339キロメートルです。

この県道の認定は、1960年（昭和35年）10月10日に広島県告示第682号によって行われ、「広島県道242号御幸松永線」としてスタートしました。認定当時は、現在の終点がある地域は松永市に属していましたが、1966年（昭和41年）5月1日に福山市と松永市が合併したことで、路線の全区間が福山市域を通る形となりました。これに伴い、旧松永市内の地名表記も変更され、終点の所在地は「福山市神村町」となりました。その後、広島県が1972年（昭和47年）11月1日に実施した県道番号の再編により、現在の「広島県道378号御幸松永線」という番号が付けられました。比較的新しい動きとしては、2018年（平成30年）3月30日に、福山市の山手町から津之郷町大字津之郷にかけての区間において、新たな道路（都市計画道路山手赤坂線）が整備され、供用が開始されています。

路線の現状を見てみると、いくつかの特徴があります。芦田川の堤防上を通る区間や、近年整備された都市計画道路山手赤坂線の区間を除くと、道路の幅員が狭い箇所が多く見られます。このため、通行には十分な注意が必要です。また、沿線に学校などがあるため、通学時間帯には安全確保を目的に一方通行の交通規制が実施されている区間や、自動車の通行が終日禁止されている区間も存在します。利用する時間帯によっては、これらの規制を確認することが重要です。

他の県道との重複区間も存在します。広島県道391号加茂福山線の新道の一部が、本路線と経路を共にしています。具体的には、福山市御幸町大字中津原にある大渡橋東詰交差点から、郷分町の大渡橋西詰交差点までの区間です。

道路施設としては、「大渡橋」が特筆されます。この橋は芦田川に架けられており、福山市御幸町大字中津原と郷分町を結ぶ役割を果たしています。歴史的な観点からは、大渡橋より南側の現在の県道ルートは、かつて栄えた近世の「旧山陽道」の経路とほぼ一致している点が興味深いと言えます。これは、古くからこの地域が重要な交通路であったことを示唆しています。

本路線は広島県福山市のみを通過します。経路においては、他の主要な道路や交通網と交差しています。起点の柳原交差点では広島県道391号加茂福山線と、終点の神村町では広島県道54号福山尾道線とそれぞれ接続しています。また、路線の上空を山陽新幹線が通過する地点もあります。

沿線には、地域住民が利用する多様な施設が集まっています。御幸町大字中津原周辺には、福山市立幸千中学校や、芦田川の河川敷に作られた福山ゴルフ倶楽部、ホロコースト記念館、芦田川の生態系や環境を学べる芦田川見る視る館、そして地域の生活を支える中津原浄水場や高屋川浄化施設があります。少し西に進むと、山手町には広島県立福山高等技術専門校や福山市立城西中学校があり、さらに津之郷町大字津之郷には山陽自動車道の福山サービスエリア（ウェルカムゲートやスマートインターチェンジを併設）があり、高速道路へのアクセスポイントとなっています。瀬戸町大字山北には広島県東部運転免許センターが、赤坂町大字赤坂には福山市立済美中学校、JR山陽本線の備後赤坂駅、福山市立福山中・高等学校などが位置しており、本路線はこれらの施設へのアクセス路としても機能しています。

広島県道378号御幸松永線は、その名称が示す地域とは一部異なる終点を持つ点が特徴的な県道です。幅員の課題や交通規制も存在しますが、新道整備などにより改良も進んでいます。歴史的な背景も持ち合わせつつ、福山市内の日常生活を支え、地域間の結びつきを強化する重要な道路として、その役割を果たし続けています。

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