広島県道386号田島循環線

広島県福山市に位置する一般県道、広島県道386号田島循環線は、瀬戸内海に浮かぶ田島を文字通り環状に巡る路線です。この県道は、福山市内海町の田島島内を通り、起点と終点が同じ箇所に設定されている循環型の特性を持ちます。具体的には、広島県道53号沼隈横田港線との交差点から始まり、島内を巡った後に再び同じ交差点に戻るルートを取ります。

路線の総延長は8.3キロメートルです。この県道が一般県道として認定されたのは、1982年（昭和57年）3月23日、広島県の告示第323号によるものです。その後、行政区域の変更に伴い、路線の所属する自治体表記に変更が生じました。2003年（平成15年）2月3日には、本路線が全線を通っていた沼隈郡内海町が福山市に編入されたため、全区間が福山市域内を通過する形となり、これに合わせて起終点を示す地名の表記も改められました。

広島県道386号田島循環線の路線状況は、一般的な県道とは異なる特徴を持ちます。多くの区間において、車両のすれ違いが困難なほどの狭隘な道幅となっており、通行には注意が必要です。また、地形的な制約から、路線の途中には崖沿いを通過する箇所も存在します。こうした特性に加え、島という立地から、台風や集中豪雨といった異常気象の影響を非常に受けやすいという脆弱性を持っています。実際に、豪雨や台風の通過後には、道路の崩落や土砂の流入などが発生し、長期にわたる通行止めが頻繁に発生しています。同じ福山市内海町を構成する別の有人島である横島を巡る広島県道387号横島循環線も同様の状況にあり、しばしば同時に被災し通行止めとなることがあります。これほどまでに自然災害による影響を受けやすい路線であるにもかかわらず、特筆すべき点として、現時点では異常気象時通行規制区間が設定されていないことが挙げられます。

地理的には、この県道は福山市の単独市域内を通過します。島外とのアクセスは、起終点部で接続する広島県道53号沼隈横田港線を介して行われます。沿線には、島民にとって重要な公共施設である福山市役所内海支所内浦分所などが立地しています。また、田島と本土を結ぶ重要な橋梁である内海大橋のたもと付近も通過します。

広島県道386号田島循環線は、その総延長の大部分が狭隘であり、自然災害に対して脆弱であるという課題を抱えつつも、田島島内の主要な生活道路として、島民の日常的な移動や物資輸送を支える上で不可欠な役割を果たしています。その特殊な路線状況は、瀬戸内海の島嶼部の道路が抱える一面を示していると言えるでしょう。関連事項としては、広島県の県道一覧を参照することで、県内の他の路線との比較や位置づけを把握することができます。

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