広島県道417号小畠荒谷線

広島県道417号小畠荒谷線

広島県道417号小畠荒谷線は、広島県神石郡神石高原町上を起点とし、府中市荒谷町を終点とする一般県道です。総延長はおよそ15.2キロメートルに及びます。この路線は、神石高原町と府中市という二つの自治体間を結ぶ重要な連絡路となりうるポテンシャルを持ちながらも、その道路状況は区間によって大きく異なるという特徴を持っています。

本路線は、比較的新しい県道路線の一つとして知られています。1996年（平成8年）4月25日に広島県告示第469号によって正式に認定されました。その成立は、既存の二つの県道路線、すなわち広島県道183号小畠府中線の一部と広島県道388号木野山府中線の一部を再編成・統合する形で行われました。具体的には、旧183号線の終点側区間と、旧388号線の起点側区間が組み合わされて、現在の広島県道417号線が誕生した経緯があります。

地理的には、本路線は神石郡神石高原町から出発し、山間部を縫うように進んで府中市へと至ります。起点は神石高原町上地内の、広島県道27号吉舎油木線が交差する場所に位置しており、この周辺には神石高原町の役場や三和小学校、三和中学校といった地域の主要な公共施設や学校が集積しています。終点は府中市荒谷町で、ここでは広島県道388号木野山府中線に接続します。路線の途中、神石高原町内には梨峠と呼ばれる峠を越える区間があり、この峠が事実上、神石高原町と府中市を分ける境界のような役割を果たしています。また、歴史的な背景として、この県道の一部区間は、古くから交通の要衝であった雲州街道の備後府中へと至るルートに沿うように敷設されています。

路線の整備状況は、通過する自治体によって大きく異なります。神石郡神石高原町内の区間は、府中市との境界が近づく一部を除き、比較的整備改良が進んでいます。舗装も良好で、多くの区間で比較的円滑な通行が可能です。しかしながら、府中市へと入るとその状況は一変します。特に終点である府中市荒谷町へ向かう区間は、昔ながらの山道がそのまま県道として指定されているような状況です。道幅は非常に狭く、軽自動車同士ですら慎重な運転を要するほどで、すれ違いが困難な場所が数多く存在します。このような狭隘な区間が続くため、大型車両が通行することは事実上不可能に近いと言えます。このような道路状況の課題があるため、神石高原町と府中市のそれぞれの中心部間を連絡する主要なルートとして、この県道を利用することは時間や労力の面から見て推奨しがたいのが現状です。

他の県道との重複区間もいくつか確認できます。神石郡神石高原町父木野のエリアでは、広島県道26号新市七曲西城線と重複して指定されています。また、府中市木野山町の区間においては、広島県道402号金丸市場線と経路を共にしています。これらの重複区間では、複数の県道番号標識が並んで設置されている光景を目にすることがあります。

結論として、広島県道417号小畠荒谷線は、総延長の半分以上が比較的整備されている一方で、特に府中市側の山間部区間では未改良の狭隘路が続くという、二面性を持った県道です。地域の生活道路や細やかな連絡網としては機能していますが、広域交通を担う幹線道路としての役割は限定的と言わざるを得ません。今後の道路改良の計画があるかは不明ですが、現状でこのルートを利用する際は、特に府中市側の区間における運転には十分な注意が必要です。

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