広島電鉄5000形電車

広島電鉄5000形電車

広島電鉄5000形電車は、広島の路面電車であり、特に関節式連節車としての特性を持つ5車体6軸の100%低床車両です。この車両は、1999年から2002年にかけてドイツのシーメンス社によって製造され、12編成（5001号から5012号）が広島市内で運行されています。愛称は「GREEN MOVER」となっており、シーメンスの商品名は「Combino Hiroshima」です。

特徴と設計

広島電鉄5000形は、日本国内で二番目の100%低床電車であり、特に乗り降りの容易さに配慮した設計が行われています。そのため、車両の編成はA、C、E、D、B車両で構成されており、A車とB車には動力台車、E車には附随台車が、C車とD車には車輪がない「浮き車体」が設置されています。この編成はトータル30m以内に収まらないため、特例を受けて運行されていたことも特筆すべき点です。

外観は、シーメンスのコンビーノモデルを基に、日本独自のデザインが施されています。デザイナーは榮久庵憲司で、前面のデザインは特に日本の都市環境にマッチするよう工夫されています。車内はステップがないため、乗客がスムーズに出入りできるようになっており、大きな窓からは外の景色を存分に楽しむことができます。さらに、車内には吊り広告が一切設置されておらず、その明るさと開放感が特徴です。

技術的な仕様

この電車は、冷房装置が各車両に整備されており、A・B車両には運転室用の空調が、C・D車両には客室用の冷房装置が搭載されています。また、パンタグラフにはシングルアーム式が使われており、PWMIGBT-VVVFインバータ制御方式を採用しています。制動装置としては、回生ブレーキと非常用のトラックブレーキが搭載されており、運転の安全性にも配慮されています。

運用の歴史

5000形電車は、広島市内線および宮島線の直通運用を目的に導入されましたが、その製造過程は非常に興味深いものでした。初編成はハーン空港から航空輸送され、その後広島港へと運ばれて組立が行われました。運行開始は1999年6月9日であり、以降2002年までに全12編成が導入されました。

ただし、これらの電車は広島の気候に適さない部分もあり、また部品の調達に関する問題もあったため、増備は早々に打ち切られました。2004年にはリコールが発表され、5000形も対象となりました。このような背景から、新たな車両の開発は国内メーカーとの共同開発による5100形へと移行しています。

現在の運用状況

2023年の現在では、5000形電車のうち運行されているのはごく少数で、主に2号線（本線・宮島線）での使用が中心です。整備が難しいことから、多くの編成が運用を停止していますが、5006号、5008号、5011号の3編成が運行されています。今後の動向に注目が集まる車両と言えるでしょう。

おわりに

広島電鉄5000形は、低床車両としての利点を最大限に生かした快適な乗客体験を提供し、多くの人々に利用されてきました。今後の運用状況においても、広島の都市交通の重要な一翼を担う存在であり続けることでしょう。

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