広島電鉄750形電車

広島電鉄750形電車について

広島電鉄750形電車は、広島電鉄が1965年に導入した路面電車の系列です。この形式は、1960年代当時の広島市内の交通事情に対応するため、大幅な輸送力増強を目的として設計されました。当時、広島電鉄では150形や400形など、戦前から運行されていた4輪単車が主に使用されており、これらの輸送力の限界を解消することが求められていたのです。

750形の導入と統合

広島電鉄750形は、旧大阪市電から導入された13メートル級の車両を元に設計され、1601形、1651形、1801形といった数種類の車両が750形として統合され、連番が付けられました。また、この750形の中でも、元1601形は古いために早々に廃車となり、現在は現存していません。元1651形と元1801形の外見にはわずかな違いがあり、前ドアのデザインや使用台車のタイプが異なる点が特徴的です。それにもかかわらず、どちらも広島電鉄においては非常に重要な存在でした。

老朽化と廃車

750形は、長年の運行を経て老朽化が進み始め、2010年代に入るとその廃車が徐々に進んでいきました。残念ながら、運行されているのは762号のみとなっています。しかし、その運行形態は観光客にも愛され、広島電鉄は“動く電車博物館”のような存在として親しまれるようになったのです。

塗装とデザイン

導入当初、750形は広島電鉄の標準的なクリームとグリーンの塗装が施されていましたが、経費の都合からその後の大阪市電の車両と同様に、再塗装を行わずそのまま運行されたことが評価されました。実際には、オリジナルの大阪市電色へと戻されているため、本車輌は新たな魅力を持つことができたのです。

車両グループの特徴

元1651形は、1940年に製造されたもので、流れるような大きな窓が特徴であり、他の形式の原型ともなりました。出自はアメリカのハリウッドカーに見られるデザインであり、日本風にデザインされたスタイルは非常にユニークです。元1801形は1950年に製造されたもので、台車の違いを見分けるポイントとなっています。特に766号は、1982年のテレビドラマの撮影で爆破シーンに使用されたこともあり、その名は広く知られています。

イベント電車「TRAIN ROUGE」

特筆すべきは、768号が改造されて誕生したイベント電車『TRAIN ROUGE』です。2016年に披露され、テーブル席やビールサーバーが設置されたこの電車は、広島の観光名所ともなりました。公式な運行は2016年から始まり、広島東洋カープの優勝記念列車にも使用され、地域のイベントにも貢献しています。

まとめ

広島電鉄750形電車は、広島の路面電車の歴史において重要な役割を果たし続けてきました。老朽化が進む中でも762号は現役として運行されており、観光地としての重要性も併せ持つ独特の存在となっています。今後も、その歴史を物語る重要な車両として、多くの人々に愛され続けることでしょう。

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