広汽三菱

広汽三菱汽車有限公司の概要

広汽三菱汽車有限公司（GAC Mitsubishi Motors Co., Ltd.）は、中国の長沙に拠点を置く自動車製造の合弁企業です。2012年に設立され、三菱自動車にとって中国での第二の生産拠点として位置付けられました。この会社は、広州汽車集団と三菱グループが共同出資する形で成り立っています。

歴史の歩み

広汽三菱は、設立当初から中国市場において重要な役割を果たしてきました。設立された2012年、広州汽車集団が50%、三菱自動車が33%、三菱商事が17%の株式を保有し、同年の生産能力は5万台に達しました。2018年には新たなエンジン工場を開設し、4B4型および4J1型エンジンの生産を開始しました。

しかし、その後の数年間で販売台数は減少の一途をたどります。特に2019年には13万3000台を販売したものの、2020年には7万5000台、2021年には6万6000台と続けて落ち込み、2022年の販売台数は3万3600台にまで減少しました。2023年第1四半期には販売台数が3969台に達し、前年同期比で58%の減という厳しい状況が続いていました。

このような販売実績の低下から、広汽三菱は中国市場からの撤退を検討しているとの報道もありましたが、三菱自動車の加藤社長は撤退の情報を否定し、構造改革の必要性を訴えました。しかし、同年9月27日、三菱自動車は正式に中国市場からの撤退を発表しました。

再編成と今後の展望

2023年10月24日、広州市自動車集団は広汽三菱の再編計画を発表しました。ここでは、債務返済に向け、3社の株主が共同で資金を注入し、株式を再構成することが決定されました。広州汽車集団は三菱自動車と三菱商事が保有する株式を5元で取得し、広汽三菱を完全子会社としました。これにより、広汽三菱は広州汽車集団の一部となり、傘下の販売会社は共同所有の形となりました。

工場に関しては、生産を行っていた三菱ブランドモデルの製造を停止し、広汽三菱の生産設備は広州汽車グループのEVブランド「AION」に引き継がれることになりました。広汽三菱は一部の設備をAIONに販売し、工場や土地は賃貸する形を取る見通しです。

2024年3月3日、広汽三菱は湖南志翔汽車管理有限公司に改名し、その後20日には広州汽車集団が湖南志翔汽車の株式100%をAIONに譲渡すると発表しました。これにより、AIONも湖南志翔汽車に資本を注入する計画を持っています。

製造していた車両

広汽三菱は、多くのモデルを製造してきました。特に以下の車両が知られています：

• - ASX（2012年 - 2023年）
• - パジェロスポーツ（2013年 - 2017年）
• - アウトランダー（2016年 - 2023年）
• - エクリプスクロス（2018年 - 2023年）
• - エアトレック（2022年 - 2023年）
• - 現地ブランド車「祺智（チーツー）」

広汽三菱が生産していた「祺智」は、中国市場向けに特化したブランドであり、地域のニーズに応えるための重要な取り組みの一つでした。これらのモデルの生産の終了は、広汽三菱の新たな戦略に向けた一歩となることでしょう。

もう一度検索