広海二三郎

広海二三郎について

広海二三郎（ひろうみ にさぶろう）は、1854年12月22日に生まれ、1929年1月29日に亡くなった明治時代の政治家、実業家、銀行家です。彼は貴族院多額納税者議員としても知られており、5代目二三郎として家業を引き継ぎました。特に、北前船主としての地位を確立し、海運業界で重要な役割を果たしました。

生い立ちと教育

二三郎は加賀国江沼郡瀬越村に生まれ、広海常信（4代二三郎）の長男として育ちました。生家は加賀大聖寺藩における海運界の有力な家柄でした。家の教えに従い、彼は16歳から5年間、手船に乗り込んで実地の経験を積むことで、船乗りの技術と商売の基礎を学びました。この経験は今後の彼のビジネスキャリアに大きな影響を与えることになります。

ビジネスキャリア

1887年に父の死去により家督を相続した二三郎は、1884年には大阪に進出し、「広海商店」を設立しました。この商店を通じて、船舶業と海産物業の経営を開始しました。1889年には北海道小樽に「広海倉庫」を設立し、さらなる発展を遂げました。1896年、彼は日本海上保険を設立し、その社長を務める一方で、鉱業にも進出しました。特に大分県の九折鉱業所や玖珠郡の九重山鉱業所において天然硫黄の採掘を行い、「天然硫黄王」と称されました。彼はまた、三十四銀行、大日本紡績の監査役、共同火災保険の取締役など、多くの企業の重役を歴任しました。

政治活動

二三郎は政治的な活動にも注力し、1904年には石川県の多額納税者として貴族院議員に選出されました。彼は1911年までその職にありました。その後、北海道拓殖銀行の創立に参加し、農工商高等会議の議員としても活動を行いました。また、1919年には大日本火災海上再保険の取締役としても尽力しました。

船舶業と所有船

二三郎の船舶業は、大阪に本社を置く江之子島を拠点に展開されました。彼が1880年代から90年代にかけて所有していた汽船は全てイギリス製で、主な船には「京都丸」「千代丸」「千島丸」「広福丸」などがあります。また、帆船も所有しており、「千歳丸」「九十九丸」などがその代表的な存在となります。

栄典と家族

彼はその業績により、勲四等旭日小綬章を受勲しました。家族には、弟の大家七平や、長男の広海四郎（広海商事副社長）、長女のツユ（滋賀県の多額納税者で小泉新兵衛に嫁ぐ）などがいます。また、甥には広海幾太郎がいて、豊田商事の取締役を務めています。

まとめ

広海二三郎は、海運業界と政治、さまざまな分野で成功を収めた明治時代の重要人物でした。彼の業績は、商業や政治への貢献を通じて日本の発展に寄与したといえるでしょう。

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