広瀬仁紀

広瀬仁紀（ひろせ よしのり/にき）

広瀬仁紀は、1931年10月15日に東京都で生まれ、1995年1月15日に没した日本の小説家です。本名は満（みつる）。彼は経済小説、時代小説を中心に、幅広いジャンルでその才能を発揮しました。

生涯

広瀬仁紀は成城大学経済学部を卒業後、文芸の世界へ足を踏み入れました。当初は歌舞伎や映画雑誌の編集者として、また総合雑誌の編集長として活動。その後、フリーのルポライターへと転身し、社会の様々な事象を鋭い視点で捉え、記事を執筆しました。

作家としてのデビューは1976年。処女作『適塾の維新』は、その年の直木賞候補となり、文壇から注目を集めました。この作品を機に、広瀬は経済小説、時代小説といったジャンルで、精力的に作品を発表し続けました。

作風

広瀬仁紀の作品は、経済、歴史、社会の裏側を抉るようなテーマを扱いながらも、エンターテイメント性も兼ね備えている点が特徴です。銀行の内幕や企業の陰謀、歴史上の人物を題材にした作品など、読者を飽きさせない多様な物語を紡ぎ出しました。特に、銀行を舞台にした作品群は、当時の社会情勢を反映しており、多くの読者の関心を引きました。

主な著書

広瀬仁紀は生涯にわたり、数多くの作品を世に送り出しました。以下に代表的な著書をいくつか紹介します。

『適塾の維新』（1976年）：作家デビュー作。直木賞候補となる。
『沖田総司恋唄』（1977年）：新選組の沖田総司を主人公にした時代小説。
『銀行緊急役員会』（1977年）：銀行の内幕を描いた経済小説。
『土方歳三散華』（1978年）：新選組副長・土方歳三の生涯を描いた作品。
『銀行頭取室』（1978年）：銀行を舞台にしたシリーズ作品。
『総理大臣の椅子』（1981年）：政界の権力闘争を描いた作品。
『乱世の知恵者 三井財閥創設者・三野村利左衛門』（1981年）：三井財閥の創始者を描いた歴史小説。
『小説・野村証券』（1982年）：野村證券を題材にした経済小説。
『薩南の鷹 人斬り半次郎異伝』（1983年）：幕末の薩摩藩士・中村半次郎（桐野利秋）を描いた時代小説。
『飛竜の如く 小説・五島慶太』（1985年）：東急グループの創業者・五島慶太を描いた作品。
『新選組風雲録』シリーズ（1987年-1989年）：新選組の歴史を描いた時代小説シリーズ。
『水清くして 天明の幕府総理・田沼意次の怪』（1990年）：田沼意次を主人公にした作品。

これらの作品は、広瀬仁紀の多岐にわたる才能を示すとともに、日本の経済、歴史、社会に対する深い洞察を垣間見ることができます。

関連項目

日本の小説家一覧
時代小説・歴史小説作家一覧

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