府中用水

府中用水

府中用水は、東京都国立市から府中市、そして調布市へと流れる農業用水路です。多摩川の4か所から取水され、全長約6kmにわたり、府中崖線の南側に沿って流れています。この用水路は、江戸時代初期の1693年に、多摩川の古い河床を利用して開削されました。当時は「七ヶ村用水」とも呼ばれ、本町、番場宿、新宿、青柳村、上谷保村、下谷保村、是政村の7つの村々の農地に水を供給し、生活用水としても利用されてきました。

歴史的背景

府中用水は、古代中世から農耕が盛んであったこの地域において、重要な役割を果たしてきました。江戸幕府の経済基盤を支えるため、この用水路は整備され、利用されてきました。ハケからの湧水と、国立市青柳での多摩川からの取水が水源となっており、途中には谷保分水が分岐しています。

現在の利用状況

現在、府中用水は灌漑用水としての役割に加え、都市排水路としても利用されています。しかし、水質浄化のための活動も行われており、その環境保全への取り組みが重要となっています。東京都立府中西高等学校の北側で府中市に入り、各所の田畑を潤した後、最終的には多摩川へと戻ります。

施設・橋梁

府中用水には、以下のような主要な施設や橋梁があります。

谷保堰：谷保分水を分けるための堰。
国宮橋：府中用水に架かる橋。

用水

府中用水からは、以下の用水が分岐しています。

本宿村用水
四谷村外ニケ村用水

運営

府中用水の運営は、時代と共に変化してきました。かつては国司が把握し、江戸時代には運営組織が存在していましたが、現在は以下の組織によって管理されています。

府中市西府用水組合
府中市用水組合
府中市是政用水組合
府中市多摩用水組合
府中市二カ村用水組合

疏水百選

府中用水は、東京都で唯一の疏水百選に選ばれており、その歴史的価値と地域への貢献が認められています。

参考資料

「府中の用水」　武蔵府中業書4 府中市　1976年
「府中市内旧名調査報告書　道・坂・塚・川・堰・橋の名前」　府中市郷土館紀要別冊　1955年
農林水産省 [1]
国立市 [2]
疏水百選 [3]
* 京浜河川事務所 [4]

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