庭中方

庭中方（ていちゅうがた）についての詳細

庭中方は、室町幕府の初期に設立された特定の機関で、主に訴訟に関する問題を扱っていました。この機関は、当時の引付方や恩賞方と連携しながら、訴人が公平に扱われることを保証するための役割を担っていました。具体的には、著しい不正や審議の遅延、あるいは奉行人による特定の訴訟相手への加担などが確認された場合、訴人は庭中方へ直訴することができました。

役割と機能

庭中方は、庭中方管領をトップとし、賦奉行が訴状を受け取る形で機能していました。しかし、訴状が所定の手続きに従って扱われなかったり、裁判が開始されないといった問題が発生した場合、訴人は庭中方に対して訴えを起こし、法律上の迅速な審議を促すことが可能でした。また、具体的な状況として、寺社の本所領に関する幕府の執行命令が20日以上停滞した場合も、庭中方は介入し、担当の訴訟機関に迅速な処理を命じることができました。こうした措置は、訴人にとって重要な救済手段となりました。

足利義満時代の変化

しかし、庭中方は時代とともにその機能を失っていきました。特に、足利義満の時代に入ると、庭中方の役割は次第に軽視されるようになり、訴訟に対する公正な審議が行われにくくなりました。この頃から、賦の手続を経ずに直接将軍に上訴する行為は「庭中」と呼ばれ、その意味も変化していきました。庭中方の存在意義が薄れるなか、訴人たちは新たな手段を求めて直接将軍に繋がる道を選ぶようになったのです。

結論

庭中方は、室町幕府の初期において重要な役割を果たしていましたが、時代の変遷とともにその機能は衰退しました。公正な審議を求める訴人にとっての救済機関としてスタートした庭中方でしたが、やがてその目的は果たされなくなり、訴人たちは他の手段を模索せざるを得なくなったのです。このような歴史的背景を踏まえることで、庭中方がなぜ必要とされ、またどのように変わっていったのかを理解することができるでしょう。

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