廊坊事件

廊坊事件について

廊坊事件（ろうぼうじけん）は、1937年の7月25日から26日にかけて、中華民国の北平市近郊の廊坊駅で発生した日中間の武力衝突です。廊坊駅は現在の廊坊北駅に相当します。この事件は、日中戦争の大きな流れの中での重要な出来事の一つとされています。

事件の背景

廊坊事件の発端は、7月7日の盧溝橋事件に遡ります。この事件を機に、中国側と日本側の緊張が急速に高まっていきました。現地で停戦協定が結ばれたにも関わらず、国民革命軍は7月13日に日本軍のトラックを爆破し、4名が死亡する大紅門事件を引き起こしました。続く14日には、日本軍の騎兵部隊への攻撃も行われ、事態はさらに深刻化していきました。

7月20日には、日本軍に対し射撃を加えるなどの攻撃が行われ、日本側もこれに応戦しました。この状況の中で、廊坊事件が発生することとなります。

廊坊事件の概要

7月25日、日本軍は廊坊付近で通過する軍用の電線が故障したことを受け、中国側に通報した上で、修理作業を行うために派遣しました。日本軍の部隊は廊坊駅近くに到着し、守備していた国民革命軍と折衝を行った後、修理に取り掛かりました。しかし、午後11時10分に中国軍が突如として発砲を始め、これが直接的な武力衝突へとつながりました。

日本側の応戦を受け、中国軍も返り討ちにあいました。翌日には、天津からの増援部隊が到着し、戦況は日本軍に有利に進展しました。日本側の損害は、戦死した兵士が4名で、負傷者も出ましたが、その一方で中国軍に対しては大きな損害を与えました。

この事件を受け、日本の駐屯軍は、さらなる兵力行使を決定し、北平周辺の中国軍に対する攻撃を開始しました。これにより、日本軍は短期間で中国軍の掃討を完了しました。

各国の見解

日本側の見解では、廊坊事件は盧溝橋事件以来の緊張の高まりの中で発生したものであり、国民革命軍の攻撃が引き金となったとされています。また、中国軍の指揮官に油断があったため、事態がこうした展開になったという分析も見られました。

一方、中国側の見解では、廊坊駅に派遣された日本兵は「電話修理」を口実にこの地点を占拠し、国民革命軍の撤退要請にも応じなかったため、戦闘が起こったとしています。日本軍による爆撃と増援の到着により、中国軍は壊滅的な損害を受け、撤退を余儀なくされました。

結論

廊坊事件は、日中間の緊張が高まる中で発生した重要な武力衝突であり、その後の戦争の流れに大きな影響を与えました。この事件は、双方の誤解やコミュニケーション不足が招いた結果とも言え、これ以降の日中戦争における衝突の基盤を形成することになりました。

参考資料

• - サンケイ新聞社『蔣介石秘録』
• - 日置英剛『年表 太平洋戦争全史』
• - 防衛研修所戦史室『〈戦史叢書〉支那事変陸軍作戦』

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