廓育ち

映画『廓育ち』概要

『廓育ち』（くるわそだち）は、1964年に公開された日本[[映画]]で、主演は三田佳子、監督は佐藤純彌が務めました。製作は東映東京撮影所が担当し、川野彰子の同名小説を元に映画化されました。三田佳子は本作で初めての大役を演じ、注目を集めました。

作品の背景

佐藤監督によると、本作は三田佳子にとっての本格的な主演作品であり、彼女の俳優としてのキャリアにおける重要な一歩となりました。当初、作品は成人指定にはなっていませんでしたが、後のDVD復刻版では成人指定とされています。この映画は、娼婦の悲しみや廓の生活を背景に、深い人間ドラマを描いています。三田佳子は、清純派女優としてのイメージを打破し、新たな演技の境地を切り開くため、熱演を行いました。

ストーリー展開

物語は、売春防止法が施行される前の京都の島原廓を舞台にしています。主人公のたみ子（三田佳子）は、廓で育てられ、性教育も受けながら自らの向上心を持ちながら成長していきます。高校受験に成功し進学するも、環境や偏見により退学を余儀なくされます。「教育を受ける権利があるはず」と訴えるたみ子の声は、世間の偏見にかき消されてしまいます。最終的には、医学生との関係や悲劇的な選択が待っており、彼女の人生は厳しい現実にさらされます。恋愛の夢が破れ、果たすべき役割に悩み続け、最終的にはお偉いさんの妾にまでなるさまが描かれています。

主要キャスト

• - たみ子：三田佳子
• - たみ子（少女時代）：小野恵子、畠山淑子
• - 宮子：佐々木愛
• - お仙：三益愛子
• - 新田茂己：梅宮辰夫

作品全体としては、たみ子の成長と挫折が中心テーマとなり、物語は彼女の強い意志と葛藤を描いています。

制作の経緯

この映画は、過去に人気を博した同じ廓を題材にした『五番町夕霧楼』の成功を受け企画されました。売春婦を題材にした作品は多く存在しましたが、本作はその中でも特に深い人間ドラマに焦点を当て、性行為を映像として見せることだけに終わることはありませんでした。1964年は、映画業界がセックスをテーマにした作品を次々と生み出すエロ・ブームの真っ只中でした。

撮影エピソード

映画の撮影は実際の京都島原廓で行われましたが、撮影当時、東映東京と東映京都の間には対立があったため、難航しました。その中でも三田佳子は、母親を現場に連れてくることが多く、監督からは独り立ちするようアドバイスされるエピソードもあります。また、京言葉を学ぶために先斗町の芸者に教わるなど、役作りに対する姿勢が伺えます。

評価と影響

本作は、三田佳子にとっての重要な転機であり、彼女は演技力を高め、映画界でも高く評価されました。特に、彼女の演技は女の執念を表現し、観客に強い印象を与えました。映画誌からも「廓の女の生態を見つめた作品」として評価されており、映画界における彼女の地位を確立しました。他社の女優とのライバル関係も話題となり、三田のキャリアをさらに輝かせる要因となりました。

同時上映

同時上映された作品には、高倉健主演の『竜虎一代』があります。

本作『廓育ち』は、三田佳子の俳優人生における重要な作品として位置づけられ、随所に人間の深淵な部分が描かれています。

もう一度検索