廣瀬敬

廣瀬敬について

廣瀬敬（ひろせ けい、1968年2月9日生まれ）は、日本の高圧地球科学者であり、特にポストペロブスカイト相の発見で知られています。現在、東京大学大学院理学系研究科の地球惑星科学専攻で教授を務めており、以前は東京工業大学地球生命研究所の所長としても名を馳せました。彼の研究は、地球の深部構造の理解を深めるための鍵となるものです。

経歴

廣瀬教授は福島県いわき市に生まれ、千葉県柏市で育ちました。父親は数学者の廣瀬健という家庭で育った彼は、1990年に東京大学理学部地学科を卒業し、1992年に同大学院に進学。その後、1994年には博士課程を修了しました。学位取得後、東京工業大学で助手としてキャリアをスタートさせ、1996年にはカーネギー地球物理学研究所の客員研究員としても活動しました。

その後、東京工業大学の助教授、教授と昇進し、2012年からは地球生命研究所の所長を務め、2017年からは再び東京大学へと移りました。彼のキャリアは、研究教育だけでなく、国際的な学術活動にも多くの足跡を残しています。

業績

廣瀬の主な業績は、2004年に超高圧高温環境を実験室で再現したことにあります。これは地球のマントル最下層の物質「ポストペロブスカイト相」を発見する上で画期的な成果でした。さらに、2010年には地球中心の超高圧高温環境を静的圧縮法で実現し、地球物理学の研究に貢献しました。また、2012年から2022年には文部科学省の世界トップレベル国際研究拠点の初代所長として、東京工業大学地球生命研究所の発展を牽引しました。

受賞歴

廣瀬教授は学術的成果に対し多数の賞を受賞しています。2006年の井上学術賞を皮切りに、日本IBM科学賞、日本学術振興会賞など数々の栄誉を得てきました。また、2011年には日本学士院賞やヨーロッパ地球化学会のScience Innovation Award（リングウッドメダル）など国際的にも評価されています。2024年には欧州地球科学連合からブンゼンメダルを受賞する予定です。

アカデミー会員

廣瀬教授は学会活動にも積極的で、アメリカ地球物理学連合フェローや日本地球惑星科学連合フェローなど、数多くの学術団体のフェローに選出されています。2023年には王立協会の外国人会員としても認められるなど、国際的な地位を確立しています。

著作物

著書としては、2015年に『できたての地球―生命誕生の条件』、2022年に『地球の中身』、また『地球を掘りすすむと何があるか』を出版しており、一般の読者にも高圧地球科学の魅力を伝えています。さらに、編著書にも『Post-Perovskite: The Last Mantle Phase Transition』があり、専門家向けの貴重な情報源となっています。

人物

廣瀬教授は、研究者としての顔だけでなく、4児の父として家庭を大切にしながら、ビールを楽しむことと昼寝を趣味としています。

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