廣瀬誠 (郷土史家)

廣瀬 誠について

廣瀬誠（ひろせ まこと、1922年1月18日 - 2005年10月10日）は、日本の郷土史研究家であり国文学者として知られています。彼は主に富山県の郷土史を専門とし、豊かな地域文化の維持・発展に寄与しました。富山県立図書館長や富山女子短期大学の教授など、数々の重要な役職を歴任しながら、文化の担い手としての役割を果たしました。

来歴

廣瀬は富山県富山市に生まれ、國學院大學に入学するも途中で中退し、1948年から富山県立図書館で職員として勤務を開始しました。彼のキャリアの中で、数多くの蔵書目録を編纂し、その中には『志田文庫目録』や『富山県郷土資料総合目録』などが含まれます。また、1955年には「富山県郷土資料分類表」を作成し、県内の図書館で共有される分類体系を確立させました。

1963年には金沢市立玉川図書館の「加越能文庫」において、越中に関する資料の整理と目録作成を行い、地方図書館では初めてマイクロフィルム撮影機を導入して4年かけて500本の資料を保存しました。この成果は『加越能マイクロフィルム資料解説』としてまとめられ、多くの読者に影響を与えました。

研究業績

越中史壇会の委員や副会長を務め『越中史壇』にも寄稿し、論文やエッセイなど多彩な記事を執筆しました。彼は、郷土研究者としてだけでなく山岳研究者としても知られ、特に立山に関連する研究を多く手掛けました。国学や民俗学、考古学など幅広い分野において横断的な研究を展開し、日本書紀や古事記、万葉集の研究にも力を入れました。また、著書には和歌が収録され、歴史的な文献や他の歌人の作品も多く引用されています。

廣瀬は私生活と公私を明確に分け、他者から依頼された原稿を職場に持ち込まなかったとされています。また、『富山県史』古代編の執筆にあたり、期限が迫ると図書館を休んで執筆に専念するなど、その厳格な姿勢が印象的です。彼は「調査や研究の成果は友人と共有すべきもの」との信念を持ち、求められればいつでも情報を提供しました。

晩年と影響

1991年には、小冊子『富山写真語 万華鏡』に立山神殿（雄山神社峰本社）の式年遷宮についての記述を発表し、これが多くの知識人の議論を呼ぶきっかけとなりました。その後、1996年に再度遷宮が行われることとなりました。晩年には『越中人譚』に寄稿し、地域の文化に引き続き貢献しました。特に、立山開山1300年を祝うために佐伯有頼像を建立する提案をし、実現させたことも記憶に残ります。

2005年に逝去し、彼の蔵書が2012年に富山県に寄贈されました。その中には、日本神話や山岳信仰に関する書籍が多数含まれ、廣瀬文庫として公開されています。彼の業績と信念は、今なお多くの人々に影響を与え続けているのです。

主要著作

廣瀬の著作には『立山黒部文献目録』『立山信仰』『万葉集 その漲るいのち』などがあり、郷土に関する重要な資料を数多く残しました。彼の研究活動とその広範な影響は、富山県の文化の保護と発展に貢献しています。

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