廷吏

廃止された廷吏の役割とその後の変遷

廷吏（ていり）は、日本の司法制度において、裁判所に所属していた職員の中のひとつの職種でした。彼らの主な職務には、法廷内での秩序維持、裁判中の事件の呼び上げ、当事者が提出する出廷カードへの記入、そして書類のやりとりのサポートなどがありました。また、裁判官から与えられた指示に基づき、様々な事務作業を行う役割を担っていました。以前はこの職務は「廷丁（ていてい）」と呼ばれ、長い間日本の法廷において重要な地位を占めていました。

法律における位置づけ

裁判所法第63条には、廷吏という職名を持つ職員が設置されることが規定されていますが、実際にはこの役職は裁判所事務官の中から選ばれた職員が担当していました。つまり、廷吏という役職名が存在していたものの、実際には事務官がその業務を行っていたのです。しかし、裁判所の職員制度改革が行われたことにより、廷吏という名称自体が廃止されました。

現在の職務継承

現在では、廷吏に代わって法廷の業務を行うのは裁判所事務官です。この職種の職員たちは、事件の呼び上げや必要な書類のやりとりを行うことで、法廷のスムーズな運営に寄与しています。さらに、時にはこの裁判所事務官が「廷吏」と呼ばれることもありますが、これはあくまで歴史的な名残といえるでしょう。

書類送達の役割

裁判所法第63条の第3項では、執行官が用意できない場合において書類の送達を行うために廷吏を派遣することができるとされています。これにより、廷吏は書類の届け出業務の一手を担っていましたが、現在この職務も裁判所事務官に引き続ぎられています。

他の関連職種との関係

廷吏は司法の中で特有の役割を果たしていましたが、裁判所の運営には他にも多くの職種が関わっています。たとえば、裁判官は裁判そのものを担当し、裁判所書記官は法廷での記録を取りまとめる役割があります。また、特定の警備担当をする裁判所事務官や派出警察官なども、法廷の安全を確保する重要な役割を持っています。

そのため、廷吏という職種は歴史の中で裁判所の業務に欠かせない存在でしたが、現在の司法制度においてはその役割は別の職種に引き継がれ、今後も法廷の運営に貢献し続けることが期待されています。

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